サンド伊達が罹患し注目の「膀胱がん」、再発繰り返す恐れも…早期発見のポイントは?
3月26日、お笑いコンビ・サンドウィッチマンの伊達みきおがブログで、膀胱がんの手術を受けたことを報告した。2月のある日の朝、血尿が出たため病院でCT検査を受け、さらにその数日後、膀胱にカメラを入れて検査をすると2センチ程の腫瘍が見つかり、膀胱がんと診断された。幸いにも早期発見の「ステージ1」だったため、内視鏡手術にて膀胱がんを切除。今後は3カ月に1度の膀胱検査で経過をみていくという。
実は膀胱がんは男性に多く、過去にも多くの著名人や芸能人が膀胱がんに罹患している。しかし、膀胱がんについて一般には詳細が知られていない状況にある。くぼたクリニック松戸五香院長、窪田徹矢医師に膀胱がんについて聞いた。
「膀胱がんは、その進行度からステージ0期、1期、2期、3期、4期まで5段階に分類されます。0期と1期は、がんが筋層まで到達していない表在性がんです。一般的に70%は表在性がんといわれます。2期以上に進むと浸潤性のがんです。0~1期は内視鏡でがん病変を切除すれば問題ないのに対して、2期以上に進めば外科的手術によって膀胱を全摘となります。
0~1期と、2期以上では天と地の差といってもよく、今回、伊達さんは1期でがんが発見され、迅速にがん細胞を切除することができたので、今後も定期的な検査を行っていけば問題ないと思います」
伊達も3カ月ごとに検査を行っていくことをブログで報告しているが、その検査は必須であり、1期の膀胱がんでがん細胞を切除したとはいえ、それで終わりではないという。
「膀胱がんは再発しやすく、ほとんどは膀胱の中に再発します。1期の膀胱がんでも、同じようながんが繰り返しできる可能性が大いにあります。そのために3カ月に一度、1年に4回の検査で膀胱鏡を入れて膀胱の中を見る必要があります」
膀胱がん1期は命を脅かすものではないが、再発を見逃さないことが大切である。
「伊達さんは今回、内視鏡でがん細胞を切除しましたが、これで終わりではなく、また同じようながんができれば、その都度、切除しなくてはいけません。再発の頻度は患者さんによって異なり、3~4回繰り返す人や、多い人では10回以上再発したケースもあります。もちろん再発しないケースもあります」
なぜ、それほど再発しやすいのだろうか。
「尿路上皮という同じ粘膜なので、再発しやすいのです。また、目で確認できないほどのわずかながん細胞が残っていれば、尿が膀胱をぐるぐると循環しているので、また増殖してしまうのです。しかし、再発はがんの進行を意味するものではなく、1期であれば、その都度、切除すれば問題ありません。また、5年再発がなければ完治と捉えます」
伊達は、血尿が出たため検査へ行き、早期発見となった。激しい運動後や尿路結石など、血尿を経験した男性は少なくないかもしれないが、膀胱がんを疑うべき血尿には特徴があるので参考にしてほしい。
「早期発見が重要ですが、血尿が大きなきっかけになると思います。運動後による尿の色の変化は、どちらかといえば褐色に近く、また尿路結石の場合は痛みを伴います。しかし、膀胱がんの場合の血尿は痛みを伴わず、繰り返し血尿が出ると思いますので放置せず、速やかに検査に行ってほしいと思います」
松田優作や小倉智昭など、膀胱がんを患った芸能人も少なくない。膀胱がんの場合は、遺伝的要素は低く、圧倒的にリスクとなるのが喫煙である。
「膀胱がんの主な原因は喫煙です。男性患者の60%、女性患者の30%は喫煙が原因といわれています。膀胱がんを発症するリスクは喫煙していた期間と比例しているというデータも出ています」
伊達が公表したことで膀胱がんが注目されたが、膀胱がんに限らず誰にとっても病気を予期することはできない。しかし、早期発見が命を救うことは明らかである。コロナ禍で医療機関の受診を控える傾向にあるが、体調に異変を感じたら速やかに受診してほしい。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)