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平井デジタル担当相と側近幹部、NTTから高額接待、関連部局が多額発注…NECとは契約解除

文=編集部
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平井卓也デジタル改革担当相の公式サイトより

 平井卓也デジタル改革担当相は7月2日、日本記者クラブ(東京都千代田区)で記者会見した。東京オリンピック・パラリンピックの選手ら訪日関係者向けに開発したスマートフォンアプリの事業費削減をめぐり、内閣官房IT総合戦略室の幹部に、発注先の一社であるNECに対し「脅かしといたほうがいい」などと4月の会議で発言したと報じられたことを受け、この日の会見では「改革の正当性を毀損しかねない振る舞いではないか」との質問が飛んだ。

 これに対して平井氏は「内輪の会談とはいえ、言葉遣いがラフだったことは認める」と釈明した。だが、その一方で「やろうとしていることに関しては、まったく変えようと思っていない。その面ではまったく反省していない」と開き直りともとれる強気の発言に終始した。この間の経緯を振り返ってみよう。

「NECには死んでも発注しない」「ぐちぐち言ったら完全に干す」――。平井氏の会議での“恫喝発言”を、6月11日付朝日新聞朝刊がスクープした。朝日新聞は音声データをもとに報じた。

 アプリは海外からの観光客や大会関係者の健康管理のためのもの。NECが顔認証を担当する共同事業体が1月に応札し、国が指定した仕様に基づき、アプリ開発の請負契約を約73億円で結んだ。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大による海外客の受け入れ中止などで機能が見直され、5月31日に約38億円に圧縮する契約に変更された。

 NECはすでに開発を終えており、国の都合で半額に減額になったことに猛反発した。平井氏の“恫喝発言”は減額交渉に関連して飛び出したことになる。「どこか象徴的に干すところをつくらないとなめられる」「一発、遠藤(信博NEC会長)のおっちゃんあたりを脅かしておいたほうがいいよ」とも発言したと伝えられた。

親密企業に発注せよとの「天の声」か

 さらに「週刊文春」(文藝春秋/6月24日号)は、『平井デジタル相「新音声」NEC恫喝の裏に親密会社ゴリ押し 官製談合防止法違反の疑い』と報じた。「文春」によれば、音声データには以下のようなやりとりが記録されているという(以下、引用)。

<平井「デジタル庁の入退室管理と、アクセスのね。それはさ、もう新しいシステムを実験的に入れてくれてもいい。松尾先生に言って一緒にやっちゃってもいいよ」

幹部「あっ」

平井「彼が抱えているベンチャー。ベンチャーでもないな、ACES(エーシーズ)。そこの顏認証、はっきり言ってNECより全然いい部分がある。だから聞いて。もうどこから撮ったっていけるし、速い。アルゴリズムがとっても優秀」>

「松尾先生」とは、東京大学工学系研究科の松尾豊教授(46)で、AI研究の第一人者として知られる人物だ。松尾氏の出身地は香川県。平井氏と同郷ということもあり、2015年頃から親交があるという。その松尾研究室から誕生したベンチャー企業が、画像認証サービスを手掛けるACES(東京・文京区)である。17年、松尾研メンバーの東大大学院生が起業。松尾教授は技術顧問として参画している。

「文春」の報道を受けて平井氏は6月22日、この会議の音声データを自ら公開した。「一部報道で誤解を招く情報が含まれており、正確な内容をお伝えする観点から公開する」と説明した。閣僚が報道に反論するため、担当省庁の会議の録音データを公開するのは異例だ。 

 公開した内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室によれば、平井氏は「ベンチャーですね」と発言しているものの、「ACES」という具体的な企業名には触れていないという。

NTTグループがデジタル庁のキーマンを3カ月連続で接待

「週刊文春」(7月8日号)は、デジタル庁のキーマンである内閣官房IT総合戦略室の向井治紀室長代理が昨年10月と12月にNTT幹部から、昨年11月にはNTTデータ幹部から、それぞれ高額の接待を受けた疑いがあると報道した。

 向井氏は旧大蔵省(現財務省)の出身。理財局次長などを経て、10年から内閣官房でマイナンバー制度の立ち上げに携わってきた。霞が関では「ミスター・マイナンバー」の異名をとる。現在は、今年9月に発足予定のデジタル庁の設置準備を担う内閣官房IT総合戦略室の室長代理と内閣府番号制度担当室長を兼務している。平井デジタル相の側近として重用されている。

 平井氏は昨年9月16日、菅政権発足とともにデジタル相に就任した。「文春」によると、平井氏は就任直後の昨年10月2日と昨年12月4日、NTTグループが運営する高級会員制レストラン「KNOX」で、向井氏とともにNTTの澤田純社長から接待されていた。昨年11月9日に「KNOX」で向井氏がNTTデータ常務の接待を受けていた。

 平井氏は7月2日午前の閣議後の記者会見で、「会食したのは事実ではないかと、事務方から報告を受けた」と語った。利害関係者に当たるかどうかは「私が判断するものではない」とした。同氏は6月25日の記者会見では、「2016年以降に8回、NTT幹部と会合した。このうち2回はデジタル改革担当相に就任した昨年9月以降だったが割り勘で支払った」とし、関係業者から供応接待を禁じた大臣規範には抵触しないとの認識を示していた。

 6月25日の記者会見では、「私と、同席した事務方の分は(費用を)きっちり払っている」と強調し、会食した理由については「多くの方々と最新の技術動向を意見交換しないと、私のポジションは務まらない」とした。さらに「(会食では)個別のプロジェクトの話をするはずがない」と述べている。

 NTTグループは、向井氏が幹部として所属する部局の事業を数多く受注している。内閣官房IT総合戦略室が開発を担う五輪アプリは、今年1月14日、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)を中心とした5社のコンソーシアムが約73億円で受注。その後、事業費は削減され、NECとの契約は解除された。しかし、NTTコムは引き続き23億円の受注を確保した。

 14年には内閣府が発注したマイナンバーの中核システムをNTTコムやNTTデータなど5社が約114億円で受注するなど、NTTグループはマイナンバー関連事業を次々と獲得している。マイナンバーカードはデジタル社会構築の鍵を握るといわれている。マイナンバーの企画立案の所管は現在の総務省や内閣府から、新設されるデジタル庁に移る。

「マイナンバーの企画立案を担うのがNTTグループという構図がもっとはっきりしてくる」とIT業界の関係者は予測するが、果たしてそうなるのか。

(文=編集部)

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