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梅原淳「たかが鉄道、されど鉄道」

なぜ「撮り鉄」は分散せず1カ所に密集?その根深い理由…解決には価値観の変更が必要

文=梅原淳/鉄道ジャーナリスト
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2009年3月に廃止された寝台特急列車の「はやぶさ」「富士」を撮影する撮り鉄たち。両列車はJR九州鹿児島線の門司駅で連結して東京駅を目指すことから長時間停車していた。このため、門司駅のホームは利用者の家族連れも混じり、あたかも撮影会といった状況となっている。この日は皆譲り合って撮影し、危険な行動も見られなかった。JR九州鹿児島線門司駅 2008年8月4日

 東京オリンピック・パラリンピックも無事に閉幕した。コロナ禍で1年延期という、これまで経験したことのない困難にもめげずに健闘したすべての選手たちに大きな拍手を送りたい。

 国内で開催されるオリンピックというと、新たな鉄道の開業が付きものであった。1964(昭和39)年10月1日開業の東海道新幹線をはじめ、1971(昭和46)年12月16日に開業の札幌市営地下鉄、1997(平成9)年10月1日に開業の北陸新幹線高崎-長野間は、それぞれ札幌、長野の両冬季オリンピックに合わせてつくられた鉄道である。

 とはいえ、今回のオリンピック・パラリンピック向けに新しい鉄道は誕生していない。すでに必要な鉄道の大多数が整備済みで、朝のラッシュ時に観客輸送を行おうというのでもなければ十分既存の鉄道でまかなえてしまうからだ。

 ところで、新たな鉄道が誕生すると鉄道愛好者は色めき立つ。特に「撮り鉄」といって鉄道の写真を撮ることが好きな人たちは一番列車を追いかけ、始発となる駅に詰めかけたり、沿線に赴いて走る様子をカメラに収める。

 撮り鉄がさらに情熱を燃やすのは、新たに開業する鉄道の影で姿を消す鉄道だ。東海道新幹線の影では昼間に東海道本線を走っていた特急列車、札幌市営地下鉄の影では一部を残して廃止された札幌市営の路面電車、北陸新幹線の影では在来線のJR東日本信越線を走っていた特急列車、それから廃止された同じく信越線の横川-軽井沢間である。こうした鉄道の最終日には駅や線路沿いに大勢の撮り鉄が集まり、それこそ押すな押すなの騒ぎとなった。

 以前から撮り鉄の評判はよくない。新規開業や廃止、それにレアな列車と、追いかける対象が限られていて大勢が集まりがちな傾向にある。周りの人たちから見ると、それだけでも威圧的な存在だ。それでも行儀がよければよいのだが、一部とはいえ立ち入り禁止の場所に入るうえ、他人の土地を荒らしたり、大声を出して一般の人を脅かしたり、ごみを捨てたりと、傍若無人な振る舞いも目立つ。

 マスメディアも撮り鉄の過激な行動を取り上げると視聴率やページビューを稼げるらしく、頻繁に取り上げられる。筆者も行き過ぎた撮り鉄についてコメントした機会は数多い。

 関係者の皆様には撮り鉄に代わり、筆者からおわび申し上げたいと存じます。筆者も仕事で鉄道の写真を撮影する機会が多く、周囲から見れば紛うことなき撮り鉄である。撮影の際にはできる限り人のいない場所で行っているが、それでも何かしらの迷惑はかけているであろう。

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