
新宿、渋谷と並び、東京を代表する繁華街のひとつに数えられる「池袋」。そんな池袋では最近、名物施設が続々と閉店している。
たとえば、今年8月29日には、西口のシンボルといわれ44年も営業してきた池袋マルイが惜しまれながら閉店した。翌月の9月20日にはサンシャイン60通りのセガ池袋GiGOが28年間の営業を終了。10月31日には、サンシャインシティに隣接する東急ハンズ池袋店が37年の歴史に幕を下した。
閉店ラッシュとコロナショックは無関係?
コロナ禍以降、感染拡大や緊急事態宣言の影響で減収となり、閉店に追い込まれた店舗や商業ビルは数えきれない。しかし、前述した店舗の閉店理由は、ビルの老朽化による建て替えや定期借家契約の満了のため、などと説明されている。
「あくまでも予想ですが、池袋マルイは立地があまり良くなく、人ももともとそこまで入りはよくなかった。店じまいは経営合理化の一環だと思います。池袋の西口は、飲食店は多いですが、サンシャイン60側に大きく広がりのある東口ほどショッピング施設はありませんから、集客は難しかったのではないでしょうか。東急ハンズも、かつての大店舗主義から一変し、近年は『ハンズ ビー』など小回りの効く業態を増やしています。今回、池袋エリアで相次ぐ閉店は、各企業それぞれの経営方針に基づくもの、そしてビルの建て替えやテナント契約満了のタイミングが偶然にも重なってしまった結果なのだと思います」
そう解説するのは、全国各地の市町村を訪ねる「まち探訪家」の鳴海侑氏。パンデミックは数ある理由のうちのひとつにすぎず、「感染拡大=閉店」と直結するわけではないと分析する。
しかし、ネット上では池袋のランドマーク的施設の相次ぐ閉店を受け、「池袋は繁華街として衰退している」と指摘する声も少なくない。鳴海氏いわく「認知の問題で衰退はしていない」とのことだが、「認知の問題」とはどういう意味なのだろうか。
「池袋以外の都市でも、経営方針転換や業態自体の陳腐化で閉店する例は増えています。ただ、池袋のマルイやセガは大規模で歴史もあり、かつ閉店の時期が近かったので、特に話題になっただけのこと。『池袋の○○が閉店』というニュースを立て続けに目にしたために、『こんなに次々に店が閉まっていくなんて、池袋って衰退しているのかも』と捉えてしまう人が多くいたのではないでしょうか。閉店跡に何も店舗が入らなければ衰退と言えると思いますが、おそらくは新しくお店が入るでしょう。衰退というよりも『新陳代謝』と言ったほうが正しいと思います」(鳴海氏)
池袋という街の「新陳代謝」は、コロナ禍以前から進んでいる。コロナショックと撤退のタイミングが重なったために、あたかも感染拡大により閉店する店が多いように見えたというわけだ。