ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 少子化でも拡大…ランドセル最新事情
NEW

「男の子は黒、女の子は赤」はもう古い?少子化でも拡大する令和のランドセル事情

文=安倍川モチ子/フリーライター
【この記事のキーワード】,
土屋鞄製造所の神田オフィスに展示されているランドセル
土屋鞄製造所の神田オフィスに展示されているランドセル

 少子化が進む中、ランドセル市場は拡大傾向にある。ランドセル工業会の調査では、2009年から19年で価格が約1.5倍増、ニッセイ基礎研究所の推計では、08年からの10年で市場規模が約3割も拡大しているという。

 その背景として考えられるのが、親と祖父母が孫のために資金を出す「6ポケット(財布)」の一般化だ。「6年間も使う物だから、いい物を使ってほしい」という願いから、素材やつくりにこだわった高級路線の工房系ランドセルの人気が高まっている。

 こういった流れを受けて、数年前から「ラン活」という言葉も誕生。人気のカラーやシリーズは早々に完売することもあり、販売開始時期は徐々に早まっている。

男の子も使える、土屋鞄の「かっこいい赤」

 1965年創業の革製品ブランド「土屋鞄製造所」では、10月から23年度入学用ランドセルのカタログ予約を開始した。販売開始は22年3月上旬の予定だ。

 近年、ランドセルも多様化が進み、「男の子は黒、女の子は赤」というかつての常識を覆すように、カラーバリエーションも実に豊富になっている。加えて、ステッチや刺繍も含めたデザイン面にこだわったランドセルも少なくない。

 ランドセルづくりから始まった土屋鞄製造所では13年頃からバリエーションを増やし、現在、カラーは約50色、モデルは60種類前後になるという。特に人気が高いのが、21年から登場した「RECO(レコ)」シリーズ。「認める、認識する」といった意味の「Recognize(レコガナイズ)」に由来するシリーズで、性別の枠にとらわれないカラーを目指して開発された。

モダンなベーシックカラーの5種類をラインナップしたRECOシリーズ(21年度)
モダンなベーシックカラーの5種類をラインナップしたRECOシリーズ(21年度)

 広報の高橋夏生さんは、「男の子も女の子も使える『ブラック』は早々に完売しました。また、男の子も使えるかっこいい赤を目指した『ディープレッド』も人気です」と語る。

 働く車や戦隊シリーズには赤が使われていることが多く、男の子が好きなカラーに赤が挙げられることが多いという。また、女の子でもブルー系やダークトーンなどのシックなカラーを好む子もいる。

 子どもたちが自分の好きなカラーを自由に選ぶ経験は、自分らしさや価値観などの形成に関わる。そんな考えのもと、土屋鞄製造所は多様な選択肢を示すことで、子どもたちのランドセル選びを後押ししているのだ。

広報の高橋夏生さん。手に持つのはRECOシリーズのディープレッド
広報の高橋夏生さん。手に持つのはRECOシリーズのディープレッド

6年間の思い出を残すリメイクサービスも

 人気のRECOシリーズは、カラー・デザイン性・機能性がいずれも優れている点が特徴だ。シンプルだけど丈夫で美しい佇まいを意識して設計されているため、大人が見とれてしまうほどデザイン性が高い。そのため、たとえばリビングなどに置いていても違和感のない“ひとつの革製品”となっている。

 機能面でいうと、防水機能を施した牛革を使用し、雨の日でも安心して使える(雨カバー付き)上に、日々のお手入れは不要。動きに合わせて背中にフィットする立ち上がり背カンを採用することで、体の負荷を軽減している。また、A4フラットファイル対応で収納力に優れている点も見逃せない。

 素材は、一番傷の目立ちにくい「牛革」、“革のダイヤモンド”と呼ばれるツヤが魅力の「コードバン」、軽くて丈夫な人工皮革の「クラリーノ・エフ」がある。

 ランドセルは、自然の色から着想を得て色にこだわった「プレミアムカラー」、アーティストと内装柄をコラボした「アトリエ」、ベーシックカラーと内装・背当てで異なる彩りの組み合わせが楽しめる「ベーシックカラープラス」シリーズなど、全8シリーズを取り揃える。※22年入学モデルの場合

 さらに、ランドセル専門店舗では22年2月末まで期間限定で無料のクリーニングサービスを開始。革製品に使える抗菌スプレーの販売も行っている。その上、6年間無料の修理保証も完備。また、長く使ってほしいという願いから、使い終わったランドセルの「ランドセルリメイク」サービスも行っている。

21年度は全5製品のリメイクを用意
21年度は全5製品のリメイクを用意

 卒業年度に関わらず、土屋鞄製造所のランドセルであれば利用できるサービスで、6年間の思い出を別の形に変えて手元に残しておける。人気はミニチュアランドセル。使ううちについたキズなども、そのまま残した仕様になっている。普段使いしたい場合は、パスケースやペンケース&キーチャームのセットがオススメ。

購入前に2泊3日でレンタルも可能

 21年は新型コロナウイルス感染拡大により未曾有の事態となったが、「レンタルランドセルサービス」が土屋鞄製造所のランドセル事業を支えた。

 これは、外出が不安な人や店舗が近くにない人をターゲットにしたサービス。レンタル期間は2泊3日で、利用料金は送料込みで3000円。また、1回の注文でレンタルできるのは1種類のみだが、レンタル数に制限はないため、2種類以上を希望する場合は複数回に分けて注文すれば、複数のシリーズをレンタルできる。

 一番のメリットは、自宅というリラックスできる場所で時間を気にせず試せる点だ。レンタル期間が2泊3日と長いため、ファッションショー感覚で手持ちの洋服と合わせてみたり、ランドセルを背負いながら通学路を歩いてみたりと、店舗ではできない試し方ができるので好評だという。

 23年度入学用の「ラン活」は、すでに始まっている。子どもが6年間を共にする相棒探しで後悔しないためにも、早めのスタートを。きっと、子どもと一緒にカタログを見る時間も大切な思い出のひとつになるだろう。

(文=安倍川モチ子/フリーライター)

安倍川モチ子/フリーライター

安倍川モチ子/フリーライター

東京在住のお笑いスキー、歴史スキー、ダンススキーな(京都の女子大の歴史学科卒、元ダンス部部長)ライターです。広告・プロモーションのプロデュース及び企画制作をしていた会社で、編集経験あり(3年弱)のため、たまに編集もします。
執筆道とりこ

Twitter:@mochico_abekawa

Instagram:@abekawa_mochico

「男の子は黒、女の子は赤」はもう古い?少子化でも拡大する令和のランドセル事情のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!