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前田日明が語る「現実的に起こりえる日本滅亡の悪夢」

文=片田直久
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ウクライナ侵攻から見る日本に危機を前田日明が語る

 ロシアが2022年2月24日にウクライナへの軍事侵攻に踏み切った。1カ月が経過した今も侵攻は続いている。

 ウクライナの各地ではロシア軍とウクライナ軍が戦闘を継続。戦況が刻一刻と変化する中、多くの市民が国外へと避難を余儀なくされた。

 北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指すウクライナに対し、ロシアはかねて軍事圧力を強めてきた。米国は「いつ大規模な軍事侵攻が起きてもおかしくない」と警鐘を鳴らし続けてきたが、ロシア専門家の多くはウクライナへの軍事侵攻には否定的な見解を取ってきた。軍事力で制圧し、傀儡政権を樹立したとしても、軍事行動自体はウラジーミル・プーチン大統領にとって決してよい結果をもたらさないからだ。

 プーチンの武力行使は国際社会に衝撃を与え、ロシアへの非難の声があふれた。米欧や日本は制裁を強めている。

 そんな中、「今回の危機的状況は日本にとって決して他人事では済まない」と声を上げたのが前田日明氏だ。

 元格闘家で1991年に格闘技団体「RINGS」を創設。海外とのネットワークを構築する過程でロシアやジョージア(旧グルジア)などの旧共産圏諸国を訪問し、信頼関係を醸成してきた。

 昨年には著書『日本人はもっと幸せになっていいはずだ』を上梓。言論活動にも力を入れている。

「一人でも多くの人に危機感を共有してほしい」と訴える前田氏は急遽、動画撮影に臨んだ。「媒体を問わず広く自身の見解を発信したい」との意向を受け、発言内容の一部を抜粋して紹介する。

「外電の情報を総合して鑑みると、膠着状態に入ったのかなというところですね」

 前田氏はウクライナ侵攻の現状をまずはそう分析した。

「欧米各国やG7も含めて経済制裁に入って、ロシアに対してもかなり締め付けを強めている。反対にロシア側から見ると、2014年にクリミアを攻めたときから、それは承知の上。ロシアは長年にわたって金をすごく貯めていたんです。そういう備えがあるんで、『何とか凌げる』という腹積りがある。

 あとはどのへんで自国の顔が立つようにと線引きしようかと考えて虎視淡々とやっているんじゃないでしょうか」

キューバ危機に匹敵する状況

 無類の読書家で歴史にも造詣が深い前田氏。今回の侵攻と同じような事例は「過去にもあった」と指摘した。

「何かといえば、1962年のキューバ危機です。当時のジョン・F・ケネディ大統領の対応について書かれたものはいくつか読みました。

 フロリダ半島、テキサス州の目の前にあるキューバにソ連のニキータ・フルシチョフ首相がミサイル基地を造ろうとした。基地に配備されるミサイルには核弾頭搭載機能があるといわれていました。図らずも米国の偵察衛星にそれが写ってしまった。ソ連からも輸送船が次々にキューバへと向かっている。

 これはえらいことだと。ケネディ大統領はテキサス周辺からいつでも出動可能な態勢を取った。軍事警戒度を最高に高めたんです。フルシチョフとキューバのフィデル・カストロ首相に対して、ケネディは核戦争も辞さない姿勢を示した。

 このとき、米ソ間で核戦争となる可能性が最も高まった。ロシア側から見れば、今回は全く同じ状況だと言ってもいいでしょう」

 その後、ケネディは海上封鎖を敢行し、キューバをソ連から隔離。米国がキューバを攻撃しないという条件でソ連側からミサイル撤去への同意を引き出した。国際政治上、最も重要な危機と呼ばれる事態はこうして13日間で終息に至った。

 政権内に多様なメンバーを集め、慎重な検討の結果、意思決定を図ったケネディ。では、米国の現大統領ジョー・バイデンの立ち回りはどうなのか。

「ケネディと比較すると、『こいつは何なんだ?』っていうくらいバカですね。『ロシアと睨み合って終わり』で済んでもいいような国際紛争事案だったのにも関わらず、NATOは関与しない。米軍も関与しないと明言した。

 プーチンはその言葉を聞いて出兵に踏み切ったんだと思います。それとともによもやのことを考えて、恫喝の一言を加えたんです。『戦術核の使用も辞さない』と。そう言ったら、バイデンがまるで答えるかのように、プーチンの不安をさらに払拭する発言をした。
『第三次世界大戦をするつもりはないから、米軍は参戦しない』と。プーチンにしてみれば、これは保証をつけてもらったようなもんです。こうなったら、やるしかない。万々歳です。

 今回のウクライナ侵攻は完全にバイデンの失策によるもの。キューバ危機当時のケネディと比較すると、バイデンの無能さには『何なんだろう?』と頭を抱えてしまう。それくらいアホですね」

前田日明が見たプーチンという男

 RINGSの活動を通じ、前田氏は共産主義体制崩壊直前のソ連と折衝。オリンピック金メダル・世界選手権優勝級のアスリートの生活を国家が保障する「スポーツマスター制度」が崩壊した後、サンボやレスリング、柔道の選手らにプロとして総合格闘技のリングで闘う道筋をつけた。

 スポーツ界はもちろん、ロシアの政界や官界、財界とも親交を保ってきた前田氏。現在のロシア大統領・プーチンの人物像はどう映っているのだろうか。

「プーチンに感じるのは東西冷戦を終わらせた旧ソ連最後の最高指導者ミハイル・ゴルバチョフ書記長とよく似た側面ですね。ロシア文学者にも通じるような繊細さを持ち合わせている人物に見えます。彼はいろいろな意見を考えながら、自分で詰めて練って考えていることがうかがえるからです。

 もう一つ、意外な一面もある。旧ソ連やロシアのトップリーダーは国際会議などの場面では写真撮影でも中心に入りたがる。必ず全員と握手をして、拒否したりされたりすることなどはまずありませんでした。でも、プーチンは握手を求めた首脳が応えてくれないと、そのまま手を引っ込めることがある。テレビで見ていると、そういう場面を結構見かけるんです。『あれっ?』と思ってしまう。アフガニスタン侵攻を主導したレオニード・ブレジネフ書記長なんかが『おいっ』っていう感じで握手を強く求めていたのとは全く違います。ソ連国家保安委員会(KGB)出身という割には、プーチンのこの繊細さは何なんだろうと思いますね」

 大国同士の衝突を防ぐ「緩衝国家」としてロシアに使われ、今は戦場となっているウクライナ。その姿はかつて中曽根康弘氏が首相時代に「不沈空母」と表現したこの国にどこか重なるところがある。

 第二次世界大戦後、戦勝国によって形成された国際秩序は冷戦終結から30年が経過した今、大きく揺らぎ始めている。国連安全保障理事会がまたも有効に機能しなかった事態は象徴的だ。

 前田氏はウクライナ侵攻を機にある「悪夢」を見たという。遠くない将来、日本を舞台に起きかねない最悪の事態とは何なのか。

 前田氏による「直言」の全貌は3月25日に配信され視聴できる。独自の経験と思考によって磨かれた「憂国の士」の卓見にぜひ触れていただきたい。

動画は下記URLより3月25日に配信。
https://vimeo.com/user170416633

前田日明Twitter 
@AkiraMaedaWORLD

前田日明チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdr9GSa8Mm_2W039apA_1sw

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