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生命保険や医療保険は不要?安心して生活するための必要額

文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会
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生命保険や医療保険は不要?
老後まで安心して生活するために必要な貯蓄とは?(「Getty Images」より)

 我々が生きて生活していく上で、想像もつかないような事件、事故、災害が起こることがあります。そのような場合でも、安心して生活していくためには、いくら位の保障があればよいでしょうか。

生命保険や医療保険の必要性

 万が一の場合(一家の大黒柱が死亡した場合、災害・事故・大病で働けなくなった場合等)の経済的なリスクを回避するために生命保険損害保険があります。

 しかし、保険はそもそも、いざという場合に支払うことができないような大きな損害等を担保するためのもので、支払うことができる範囲の損害は貯金等で準備すればよいでしょう。心配性の方は驚くほど多くの保険に入っていますが、保険に入るということは保険料の負担もそれだけ多いということになります。日々の生活を犠牲にしてまで多くの保険料を支払う必要があるでしょうか。日々の生活を大事にしながら貯金等では賄いきれない損害分を保険でカバーすればよいのではないでしょうか。

 その上、日本には保険のほかにも優れた制度があります。“高額療養費制度“をご存じでしょうか。 高額療養費制度とは、医療費が高額になった場合に一部を払い戻してくれる制度です。1カ月(毎月1日から末日まで)の医療費が「自己負担限度額」を超えた場合に、申請することで超過して支払った分が戻ってきます。「自己負担限度額」は、年齢や所得により決められています。

【年収と自己負担限度額】(70歳未満の場合) 

 年収1160万円以上…25万2600円+(総医療費−84万2000円)×1%
 年収約770万円~1160万円…16万7400円+(総医療費−55万8000円)×1%
 年収約370万円~770万円…8万100円+(総医療費-26万7000円)×1%
 年収約370万円以下…5万7600円
 低所得者(住民税非課税)…3万5400円

 たとえば、「年齢70歳未満、年収370万円~770万円、総医療費100万円」だった場合、8万100円+(100万円-26万7000円)×0.01=自己負担限度額は8万7430円。3割の保険で30万円−8万7430円=戻ってくる金額は21万2570円。

 つまり、100万円の医療費で保険3割、30万円支払っても、実際には21万2570円戻ってくるので、医療費の心配をする必要は、ほとんどないといえます。一般的な家庭なら8万7430円の余裕はあるでしょう。一度に高額(30万円)の支払いが難しい方は、予め加入している健康保険に“限度額適用認定証“を請求してもらっておけば、限度額までの支払いで済みます。

 その上、1年間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合は、4回目から自己負担限度額がさらに下がります(約半分)。

 大企業の健康保険組合に加入している方は、所得に関係なく、自己負担限度額が2万円のところもあります。そのほか、傷病手当金という制度もあり、日給の3分の2が最長1年6カ月~日給の80~85%が最長3年、支払われるところもあります。

 一度、ご自分の加入している健康保険組合の保障を調べたら、安心できるのではないでしょうか。

一家の大黒柱が死亡した場合

 次に、一家の大黒柱が死亡した場合を考えてみましょう。

 一家の大黒柱が死亡した場合には、加入していた年金から遺族年金が支給されます。遺族年金とは、一家の大黒柱が死亡したときに遺族が生活に困らないように創設されたもので、死亡時に生計を同じくしていた人で、かつ年収850万円以上を将来にわたって得ることができないと認定された遺族に支払われます。

 国民年金に加入していた人は、(1)末子が18歳まで、(2)妻が老齢基礎年金を受け取る、とすることで、(3)一時死亡金が支給されます。さらに、厚生年金に加入していた人は遺族厚生年金も支給されます。以上のことを考えると、高額の生命保険、医療保険に加入する必要はないでしょう。

火災保険、地震保険について

 しかし、火災保険、地震保険については、医療のような国民皆保険の制度はない上に、近い将来かなりの確率で地震が起こることが予測されているので、民間の火災保険、地震保険には入る必要があるでしょう。

(文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会)

藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会

(立教大学ドイツ文学科)卒業後研究室で副手を1年務め結婚。女児2人を出産し、下の子が3歳になったときに(中央大学法学部)に学士入学。法律の面白さに惹かれ、卒業後も勉強を続ける。宅建とFP試験に合格(CFP、宅地建物取引士)。その直後夫の赴任に伴いアメリカに約8年居住。帰国後FPとして働き始める。講演、相談、執筆を行う。その間、簡易裁判所、家庭裁判所で調停委員、参与員、司法委員を定年まで勤める。
著書:「100歳まで安心して暮らす生活設計」(共著)、「どっちがお得?定年後のお金」(共著) ‘高齢期のお金を考える会’メンバー。高齢者施設を多数見学し、高齢者施設の種類、内容、注意点、選び方等を勉強する。

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