みなさん、こんにちは。元グラフィックデザイナーの経営コンサルタント、共感ブランディングの提唱者・松下一功です。
現在のビジネスシーンにおいて、経営者やリーダー、管理職の間では「共感力」が最も重視されています。つまり、仕事をする上で「協力者(チーム)を創ること」を一番大事にしているのです。個々で活動しやすいというのが利点であるフリーランスも同様で、いかに仲間を創っていけるか、また、いかにチームで力が出せるのか、ということが重要です。
これは、ブランディングにおける「ファンづくり」に近く、私が提唱している「共感ブランディング」の根幹でもあります。そこで今回は、全ビジネスパーソンに共通する「仕事がデキる人」の条件についてお伝えしましょう。
「ブランド力」とは何か?
共感力の説明をする前に、まずは「ブランド力」について、簡単におさらいしておきましょう。
たとえば、ビジネスバッグを買い替えるとき、予算やデザイン、使い勝手などを総合的に判断して選ぶ人がほとんどでしょう。では、いいなと思ったバッグがノーブランドで、それとほぼ変わらない商品が好きなブランドから発売されていたら、あなたはどちらを選びますか?
多少値が張ったとしても、好きなブランドの方を購入するのではないでしょうか? そう、「ブランド力」とは、消費者が商品を選ぶ際の条件となる「総合的な魅力」と同等、またはそれ以上に重要なものなのです。
そして、「ブランド力」の背景にあるのは、その企業のプロフィール、商品づくりへのこだわりや想いです。商品の品質に、そういったものがプラスされるため、私たちは安心して、その企業のものを買うことができるのです。
「共感力」で好循環を生むアップルの経営
たとえば、ある企業が、あるブランドを立ち上げたとしましょう。その企業が、そのブランドや商品に対して、どのように情熱を燃やしているのか、そもそもどんな経緯で立ち上げられたブランドなのか、ということは意外と重要なポイントです。
これを突き詰めていくと、その企業ではどんな人が働いていて、どういうスタンスで仕事をしているのか、どんな生き方をしてるのか、というように、ブランドに携わる「人」にたどり着きます。
そして、品質に加えて安心感や信頼感を与えてくれる「ブランド力」をうまく構築できることが、現代の「仕事がデキる人」の条件であり、「自分たちが納得のいく商品を作る」という目標に向かって邁進するカギが「共感力」です。
その共感力をうまく発揮している企業の代表例が、アップルです。アップルは商品を作って販売する側の人(従業員)にも、購入する側の人(消費者)にもアップルのファンが多く、下請けなど関連会社の多くもアップルのファンだといわれています。
たとえ下請けであっても、発注元から言われた通りに作業をこなすのではなく、「好きなアップルの商品を作っているんだ、販売しているんだ」と思いながら働く方が、モチベーションが高く、やりがいも感じます。さらに、商品のクオリティが上がったり、店頭でお客さんに誠実な対応ができたり、といった好循環も生まれます。
このように、「ブランドのファン=サービスを提供する側&受ける側」という構図になっている企業は、ブランド経営が成り立っているといえます。このような企業は、マーケティング戦略を重視しすぎなくても済みますし、自分たちの作りたいものを作って販売していけば、消費者からの支持を得ることができます。
「共感力」を身につける方法
では、一般のビジネスパーソンが「共感力」を持つには、どうしたらいいのでしょうか?
それは「自己表現」をすることです。たとえば、物を売る前に、まず相手に自分たちは何者なのかを明確に伝えます。何を思い、どんなことを考えながら仕事に取り組んでいるのか、何にこだわっているのか。そういったことを伝えた先にあるのが、ブランドや商品の話です。
ここまで読んで、「当たり前のことを言っている」と思われた方も多いでしょう。しかし、実際に自己表現をするのはとても難しいことで、事実、どの業界でも商品のスペックや価格の話が先行しています。その結果、当然のように価格競争が激しさを増しています。
あらゆる技術が発達し、生活に必要なものが満ち足りている今、商品の品質はほとんど変わらないのが現実です。価格競争や経営難に陥らないためには、ビジネスにおける自己表現を忘れてはならないのです。
お手本は「信頼できる保険営業」
そうはいっても、どうやって自己表現をしたらいいのかわからないという方も多いでしょう。その場合は、お手本として、信頼できる保険会社の営業職の方をイメージしてみてください。
数多あるプランの中から、あなたのライフスタイルや生き方にマッチしている保険は何か、自分と一緒になって考えてくれれば、心は契約へと動いていくはずです。もちろん、その保険商品の魅力やメリットも考慮するでしょうが、営業の方の人柄や仕事に対する信念などを知ったり、共感したりすることで、最終的には「この人なら信頼できる」と思って契約するケースも多いのではないでしょうか。
つまり、一番大事なのは「何を買うか」ではなく、「誰から買うか」なのです。
相手から共感を得るには、自分の考え方や生き方などを丁寧に表現する必要があります。それは、現代社会で働く全ビジネスパーソンに共通する大事なポイントで、フリーランスであっても同じです。
かつては、ある程度の経験や実力のある人がフリーランスとなるケースが多かったのですが、今やそこまでの高いハードルはありません。そのため、フリーランス人口が増加し、競合相手が増えてしまったことで、継続することが難しくもなっています。
また、会社員であっても、働き方改革などの波の中で、短時間で効率的に成果を出すことが求められており、必要なスキルやアプローチが変わりつつあります。さらに、副業解禁の流れで、本業以外のビジネスに乗り出す人も増えています。
今の時代、会社員でもフリーランスでも、いいサイクルを作り、長くビジネスをしていくための秘訣は、共感力です。それを意識して、仕事に向かってみてはいかがでしょうか。