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大阪厚生信用金庫でまたも杜撰融資…不動産会社による詐欺的行為で損失か

文=Business Journal編集部
大阪厚生信用金庫本店
大阪市中央区にある大阪厚生信用金庫本店

 長引く低金利政策で銀行の経営がひっ迫する中、杜撰融資が繰り返し明るみに出ている中小金融機関もある。関西を地場とする大阪厚生信用金庫も、そうした一社になるのではないだろうか。詳しくは後述するが、大阪厚生信金はこれまでも、計画倒産が疑われる案件や、巨額粉飾決算が明らかになった新興企業の大口債権者として名前がたびたび挙がっているが、今回新たに、大阪の不動産会社が仕組んだのではないかと見られる融資詐欺的行為の被害に遭っていたことが、当サイトの取材で分かった。
 
 当サイトが入手したのは、大阪の不動産会社であるギフトグループ(代表・大黒圭太)と、ニウ・アンド・パートナーズ(以下、ニウ社/代表・丹生伸郎)との取引関係の証憑だ。

 ギフトグループは2017年に、大阪厚生信金の関目支店から融資を受け、ニウ社から京都の2つの集合住宅を合計約4億5000万円で取得。この際に、虚偽の不動産売買契約書などを大阪厚生信金に提出し、取得価額を大きく上回る6億2000万円の融資を受けていた。売買契約書の二重作成、通称「二重売契」である。

 なお、ギフトグループが二重売契を用いて大阪厚生信金から不適切な融資金を詐取していたことは、ギフトグループも訴外として登場するニウ社と某債権者との民事訴訟の一審判決でも認定されている。

 虚偽の不動産売買契約書を使い、金融機関から過大融資を引き出すことは、詐欺罪に当たる立派な犯罪。大阪厚生信金を相手にギフトグループが行った行為も、もし、契約書が虚偽であることがわかっていれば、過大な融資をすることはなかったという点において、詐欺罪が成立する可能性が極めて高いのだ。
 
 昨今、住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」を使い、過大融資を引き出す手口が横行している中、多重債務者が借金返済のために不動産ブローカーの口車に乗り手を染めるケースが多いが、ギフトグループが行った手口は、もしかするとこれの拡大版とさえいえるだろう。
 
 また、ギフトグループに近しい関係者からの情報を元に調べてみると、同社には多額の負債があることが判明。また、複数の人物や企業と金銭トラブルを抱えており、その中には債務額が億を超えるも、ギフトグループが返済に一切応じようとしないという悪質なケースもあるようだ。
 
 その上、現在のギフトグループの運営実態は不透明だという。事実、会社のホームページに掲載されている代表電話は通じず、「代表者とも連絡が取れない」と憤る債権者が複数いることもわかった。
 
 当サイトでは、不動産業界のネットワークを駆使し、ギフトグループの代表である大黒氏の携帯番号を入手。そこに連絡を入れると、大黒氏本人が対応したが、どこから連絡先を入手したのか困惑した様子を見せるだけで、その後、前述した問題点などを問う質問状を送ったものの、期日までに回答はなかった。多くの顧客や債権者を抱える不動産業を営む会社やその代表と連絡が取れないこと自体、社会通念上、異常な状態と言えるだろう。
 
 関係者によると、ギフトグループは慢性的に資金不足に陥っており、ニウ社からも借財を重ねてきたという。前述した二重売契により“浮いた”約2億円は、ニウ社への借金返済に充当されたのではないかというのだ。
 
 前述した通り、このニウ社はギフトグループも絡んだ融資で民事裁判を起こされており、先ごろの一審判決では、ギフトグループへの偏頗弁済(特定の債権者のみに弁済したり、または担保を提供したりする詐害行為)の認定を受けている。ニウ社にも、ギフトグループとの売買契約に関する質問状を送付したが、期限までに回答はなかった。
 

「虚偽の申請書類であった場合は、融資の承認はいたしません」

 一方、このようにして大阪厚生信金から詐取された融資金は、回収不能となっている可能性が高い。
 
 ギフトグループは過大融資を受けた翌年6月、大阪府から「事務所の所在地の申し出を促したところ、30日を経過しても申し出がない」として宅建業の取り消し処分を受けている。そして7月には、大阪厚生信金から不動産の競売を申し立てられていた。
 
 また住民税などを滞納したためか、同じ頃に自治体から物件の差押えを受けている。大阪厚生信金から融資を受けた直後から、経営が急速に悪化していたと思われるのだ。
 
 ただ、問題はそこだけではない。着目すべきは、関西の地元住民から預金を預かる大阪厚生信金の融資判断基準、与信審査がどうなっているかというところではないだろうか。
 
 当サイトが入手したレントロールなどの資料によると、2~3部屋でも空室が出れば、元利金の返済が滞ってしまう計算になる。確かに大阪厚生信金は騙された被害者という側面もあるが、融資額に対して、同信金が下した物件そのものの評価自体が過大と思わざるを得ない。どのような材料から、融資額が適切と判断したか。また、ギフトグループのような経営実態が危うい会社に対して、なぜ、このような杜撰な融資が行われてしまうか、という疑念が増すばかりだ。
 
 これまでも、大阪厚生信金は問題案件への融資が目立っている。
 
 2016年末に計画倒産した疑惑のある金融サービス会社「デジックス」。経済情報誌などによると、大阪厚生信金は破綻直前に同社との取引が増加。当サイトが入手した資料によると、破綻時の銀行債権19億円のうち、最も多い10億円が、不名誉にも大阪厚生信金大淀支店が貸し出したものだった。明らかに騙された案件で、同信金の与信審査の拙さは非難を逃れないだろう。
 
 また昨年、東京地検特捜部が粉飾決算の疑いで事件化した太陽光発電関連会社「テクノシステム」にも、大阪厚生信金は巨額融資を実行していた。大阪厚生信金はテクノシステムとは全盛期に取引はなかったが、破綻直前になって急激に融資額が増加。倒産直前までに26億円を貸し出しているのだ。関係者らの話によれば、融資を斡旋するブローカーが介在していたという。結果、融資金の大半は焦げ付いたと見られている。
 
 金融機関にとって必要不可欠なのは「企業の目利き」。つまりは適正かつ妥当な判断となるのだが、過去の倒産直前の企業などの多額な融資などを見ても、大阪厚生信金に関していえば、そこがあまりにも杜撰ではないのだろうか。 
 
 そうした中で発覚した、ギフトグループへの融資問題。大阪厚生信金はどのように認識し、対応するつもりなのか。当サイトの質問には、「虚偽の申請書類であった場合は、融資の承認はいたしません」とする一方、「個別の事案については、お答えすることはできません」と応えるのみだった。
 
 低金利が続くゆえ、中小企業は比較的「借りやすい」状況が生まれている。一方、金融機関は、低金利を補うために融資残高を大きくしようとする。その間隙を縫って、今回のような悪質なケースが生まれてしまうのか。ゆえに、これは氷山の一角かもしれないのだ。
 
(文=Business Journal編集部)

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