ファミリーマートの店舗で8月20日、「シルバニアファミリー」のくじが発売されたが、ある店舗で販売開始前に店員が当たりくじを抜き取っていたことが判明し、問題になっている。
シルバニアファミリーは、エポック社が1985年から販売する人形で、日本や欧米でアニメ化されるなど、37年目の現在でも世界中に根強いファンがいる。
ファミマでは8月20日10時から、「シルバニアファミリー キラキラくじ ~ゆめいろパレード~」と題し、シルバニアファミリーのさまざまなグッズが当たるくじを販売。ある店舗で、シルバニアファンの客が販売開始を待って、希望の商品が出るまでくじを買い続けた。ところが、最後まで購入しても希望の商品が出なかったことから店側に確認したところ、店舗スタッフが事前に2枚くじを抜きとり、商品を持ち帰っていたことが判明した。
この客は、当該店舗の店長やファミマ本部と話し合いをしたが、対応に不信感を持ち、経緯をTwitter上に公開。すると、Twitterはファミマへの批判の声であふれた。
その経緯とは、大きく次のような流れだ。
・この客は、友人とともに店舗を訪れ、交互に5回ずつくじを引き続けた。
・計40回引いても希望の商品が出ない。くじは1ロット60回なので、残り20回分の料金を支払い、全部引きたいと願い出る。
・当初、店員は断るも、店長に確認したところ許可が出たとして、すべてのくじを買い取る。
・ところが、58回分しかくじがなく、すべてを開けても希望の商品がなかった。
・あらためて店長に確認したところ、別の店員が事前に2回分のくじを引いて、商品を持ち帰っていたことが判明。
・抗議したところ、希望の商品をあらためて届けると提案があり、了承。
・その後、「店員が欲しくて商品を持ち帰ったわけではなく、商品を破損したので修理に出していた」と説明を変遷。不信感を持った客は、商品の受け取りを保留。
・その後、事実確認などを行ったファミマ本社側から連絡があり、くじにかかった全額返金および商品の提供を提案される。
・しかし、実際に提供された商品が、希望していた商品とは異なっており、再度確認を頼む。
・経緯の説明を受けるも、問題のスタッフに聞き取りをしていないなど不信感を抱き、また、再発防止策について問い合わせても、『販売オペレーションの再確認を徹底する』というもので根本的な解決にならないものだった。
ファミマの回答は? 弁護士の見解は?
事前に謳っていた商品が抜き取られた状態でくじが販売されていることについて、「景品表示法違反ではないか」「詐欺のようなものだ」など、ネット上では違法性を指摘する声が相次いでいる。そこで、Business Journal編集部は、ファミマ広報部に以下の4点について質問を投げた。
(1)まず、この件は事実か。
(2)Twitter上で経緯を見る限り、店員は店長の許可を得て事前に買ったと発言している。当たりがない状態でのくじの販売は、景品表示法違反などに該当する可能性があるとの指摘もある。また、店長の許可があるということは、店舗ぐるみでの不正とも考えられるが、どのように考えるか。
(3)当該客、店舗(店長および店員)に対し、どのように対応するか(または、したか)。
(4)コンビニ店舗の一番くじは、当たりとハズレ(商品内容)がわかるような状態で店舗に納品されることも一因かと思うが、今後どのように再発防止策を講じるか。
これに対する回答は、以下の通り。
「Twitterの投稿に関しては認識しております。状況を確認し、該当店舗には然るべき対応を実施しております。尚、個店の詳細および、オペレーションに関する詳細の回答は控えさせていただきます」
事実関係についての明言は避けたが、「該当店舗には然るべき対応を実施」として、一定のトラブルがあったことは認め、対応済みとの見解を示した。
そこで、一般論として、店員が当たりくじを事前に抜き取って販売した場合、景表法違反などに該当するのか、また、当たりを抜き取った店員がなんらかの罪に問われる可能性はあるのかについて、山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士に話を聞いた。
「この手の話、よく聞きますが、ファミマ経営会社やそのFC店としてインチキをやっているわけではないので、景表法違反や詐欺罪にはなりませんね。あとは、この店員自体ですが、自分が主催している『くじ』ではないので、利得もあり得ないから同じく詐欺罪や他の犯罪にもなりません。ホント、モラルの問題ですね」
法的な問題は追及できないということだが、SNSが発達した現在、不正は瞬く間に全国に広まるようになった。これが不正の抑止となり、同じような被害者が出ないことを願う。
(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)