
OECD加盟国の中でステルスマーケティング(ステマ)に対する規制がないのは日本のみという。
消費者庁は16日、「第1回ステルスマーケティングに関する実態調査検討会」を開き、有識者らがステマの実態と今後の方策について議論した。国がステマについての実態調査に乗り出したのは初めて。河野太郎消費者担当相は検討会の結論を踏まえ、「必要とあらば、ステルスマーケティングに対するなんらかの規制を考える必要がある」と述べた。
検討会は中川丈久神戸大学大学院・法学研究科教授が座長を務めるほか、渡辺安虎東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院教授、山本京輔WOMマーケティング協議会副理事長、西田公昭立正大心理学部教授、立命館大学経営学部の菊盛真衣准教授ら計11人の委員で構成。会議はオンラインで開催された。
河野消費者担当相「なんらかの規制を検討」
検討会の冒頭、河野消費者担当相は以下のように語った。
「デジタル広告の市場規模はマスメディア4媒体の広告費を超えている。デジタルの分野の広告が広告市場のメーンプレイヤーとなっているといっていいのかもしれません。消費者の皆さんが日常、目にする広告の中には、広告であると明示されていないステルスマーケティングが存在しています。消費者の自主的、かつ合理的な消費行動、あるいは消費選択にどういう影響を及ぼしているのか。“合理的商品選択の機会を確保することが困難になっている”という指摘もいただいている。
ネット広告が急速に拡大する中で、現役のインフルエンサーの実に4割がステルスマーケティングを依頼されたという経験を持っているという調査結果がある。それについてインフルエンサーがどう認識しているのか、どう思ったのかかなり幅があるのも事実です。
(検討会で)現役のインフルエンサーの認識を聞いて頂くのも有益だと思っています。デジタル広告が健全に発展を続けていけるように、一般の消費者にとってわかりやすく適正な広告を実現していくことが非常に重要だと思っています。
必要とあらば、ステルスマーケティングに対するなんらかの規制をしていくことも考えていかなければならないと思っています。ぜひ、年内に一定の結論を得る、そんなスピード感でお願いしたい」
ステマ跋扈も明確な法規制なし
検討会は景品表示法にもとづいて設置された。しかし同庁表示対策課作成の会議資料によると、現行の景品表示法では「優良誤認・有利誤認がない場合は規制できない」というのが実情のようだ。現行制度では、実際には広告主の依頼であっても、以下のような事例は同法の不当表示に当らないことを説明している。
・有名人が商品・サービスと一緒に取った写真を広告であると明示せずに宣伝すること
・商品・サービスについて、広告である旨明示せず、「よかった」や「おすすめ」といった感想の体を取って、SNS等に投稿すること
・インターネット上の記事に広告である旨明示しないこと
・商品・サービスの比較ランキングに広告である旨明示しないこと