一昨年から昨年にかけて社会現象ともいえるほど大ブームを巻き起こしたアニメ『鬼滅の刃』。9月25日に昨年放映された映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が『土曜プレミアム』(フジテレビ系)で地上波初放送されると、平均視聴率は20%を超え(ビデオリサーチ調べ/関東地区)、依然として根強い人気があることを示した。
その『鬼滅の刃』人気にあやかり、ステマ(ステルスマーケティング)を行っているのではないかとの疑惑が湧き起こり物議を醸している。
前述のフジテレビ系での『劇場版~』の放送後、10月10日から「テレビアニメ『鬼滅の刃』無限列車編」、12月5日からテレビアニメの第二期となる「テレビアニメ『鬼滅の刃』遊郭編」が放送されると発表された。
その放送の約1時間後、ABEMAのアニメチャンネル「ABEMAアニメ」の公式ツイッターが、「テレビアニメ『#鬼滅の刃』 無限列車編・遊郭編 ABEMAで配信決定!」とツイートし、ABEMAでもテレビアニメ版の『鬼滅の刃』を観ることができるとアピール。
すると数分後に、ユーチューバーの「てんちむ」がこのツイートを引用しつつ「鬼滅2期気になる ABEMAで見れるみたい」と、ABEMAを宣伝するかのようなツイートを投稿。それにとどまらず、元「さんこいち」の「やっぴ」をはじめ、「Rちゃん」「多井隆晴」などのユーチューバーたちや、「りかりこチャンネル」の「りか」「りこ」、「かのん(関戸奏音)」「しびたん(和栗汐里)」などのティックトッカ―、ほかにもインスタグラマーなど、多くのファンを抱えるインフルエンサーが、わずか10分ほどの間に相次いでABEMAで『鬼滅の刃』を観ることを推奨するツイートを行った。
同様のツイートを行ったインフルエンサーは20人近くいるようだ。
同時多発的にABEMAを宣伝するかのようなツイートが発信されたことで、いわゆるステマではないかとの指摘がインターネット上で出始めると、「コレコレ」は翌26日に行った生配信の中で、一連の投稿はステマであると断言。「これはお金をもらってツイートしてます」と推測し、ABEMA及びツイートを行ったインフルエンサーたちを批判した。
特に過去に何度も広告手法が問題視されているてんちむについては、「また懲りずに同じような問題を起こしている」「これがマズイって気づいてないわけないよね」など、批判の声が多数あがっている。
そこでBusiness Journal編集部がAbemaTVに直接、以下の件について見解を求めた。
・前出のインフルエンサーたちに広告を依頼した事実はあるのか
・依頼していない場合、ステマ疑惑が上がっていることについて
・「コレコレチャンネル」でステマであると断言されていることについて
・宣伝を依頼していた場合、ステマとなるような宣伝手法をとった理由、および依頼を受けたインフルエンサーたちが批判にさらされていることについて
するとAbemaTV広報担当者から、以下のように質問には一切答えないスタイルで返答があった。
「ABEMAでは、日頃より番組関係者などお世話になっている方々に、ABEMAの番組情報を定期的にご案内させていただいております。日々、視聴者のみなさまからいただいたご意見はすべて目を通しております。今後もよりよいサービス運営を目指してまいります」
ステマは、消費者に著しい不利益を与える可能性があるとして、広告業界では自粛している広告手法だ。海外では法律で禁止している国もある。かつてステマに関与し、芸能界引退に追い込まれたタレントもいる。ユーチューバーたちであれば、そのような打撃を受けることはないのかもしれないが、フォロワーたちからは“倫理観のない人物”との不名誉な評価が下されることになるのではないだろうか。
一連のツイートがステマか否か、真相が明らかにされることはあるのだろうか。