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『紅白歌合戦』ハプニング集…悪ふざけで出禁になった桑田佳祐、とんねるず、吉川晃司

文=上杉純也/フリーライター
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『紅白歌合戦』ハプニング集…悪ふざけで出禁になった桑田佳祐、とんねるず、吉川晃司の画像1
『NHK紅白歌合戦』のHPより

 12月31日、今年も恒例の『NHK紅白歌合戦』が行われる。昨年はそれまで会場となっていたNHKホールの耐震化工事の影響により東京国際フォーラム・ホールAをメイン会場としていたが、第73回となる今年の舞台にはNHKホールが帰ってくる。それも第70回以来、3年ぶりのNHKホールでの有観客開催である。

 そんな『紅白』は、長年続く生放送番組とあって、想定外のハプニングに見舞われることも多々ある。今回は『紅白』の長い歴史に刻まれた数々の“予期せぬ放送トラブル”を振り返ってみたい。

 まずは“やらかした”司会者を2人、紹介しよう。1984年・第35回を最後に引退することになっていた都はるみ。大トリとして『夫婦坂』を歌い終えると、観客からアンコールの嵐が巻き起こり、感動的なフィナーレとなる……ハズだった。ところが、ここで事件が起こってしまう。総合司会を務めていた生方恵一アナが「もっともっとたくさんの拍手を、ミソラ(さんに)……」と、うっかり言い間違える痛恨のミスを犯してしまったのだ。この事件の主である生方アナは翌年、自らNHKを去っている。

 そしてこの「ミソラ」発言からわずか2年後の1986年・第37回。白組の司会を担当した加山雄三が、白組のトップバッターだった少年隊の曲『仮面舞踏会』を紹介する際に『仮面ライダー』と言い放ってしまった。実は少年隊は特製の衣装でマント姿から仮面ライダーばりの革つなぎスーツに早変わりすることになっていたため、どうもこれが加山の頭に残っていたようだ。ちなみに、今年の『紅白』に加山雄三は特別企画で出場。年内いっぱいでコンサート活動から引退するため、今回の『紅白』が最後のライブパフォーマンスとなり、また85歳での史上最高齢出場となる。

パフォーマンス中のトラブル

 続いてはパフォーマンス編である。2009年・第60回にサプライズ登場という形で出演した矢沢永吉が歌唱中に歌詞を間違えたことで、それ以降、テレビに歌詞テロップが一切表示されなくなるというシーンがあった。だが、長い歴史を誇る『紅白』にあって、これは些細なアクシデントにすぎない。これ以上の事件に溢れているのだ。

 まず、オールドファンなら記憶に残っているかもしれない。1974年・第25回で初の大トリを務めた演歌歌手の森進一。だが、その熱唱中、なんとズボンのファスナーが開いていたのだ。途中で気づいた森がさりげなく閉めている姿がカメラにバッチリと収められている。

 衣装といえば、この事件も忘れられない。1992年・第43回で起きた小林幸子の“人間ほたる失敗事件”である。美川憲一とのド派手な衣装対決が注目され始めた頃で、この年の小林は6万2500個ものLED(発光ダイオード)を駆使した“人間ホタル”となってステージに登場。ところが、制御コンピュータの故障で衣装の羽根の部分のLEDがまったく光らず、演出は大失敗に終わってしまう。小林はステージ後に大号泣するハメになった。

 この11年後の2003年・第54回で小林幸子は再び悲劇に見舞われる。歌唱曲『孔雀』に合わせて“孔雀”をイメージした衣装で登場。この衣装は幅13メートル、高さ7.5メートルにも及ぶ羽根型の巨大衣装で、本来なら孔雀のように羽根が開くハズだった。ところが間奏あたりでセットが故障、3つある羽のうち1つしか作動しなかったのである。当の小林は観客のブーイングで失敗を悟ったらしいが、この異変の理由は電源にあった。なぜか電源が外れていたのだという。それでもただでは転ばないのが小林幸子。この1カ月半後に放送された『NHK歌謡コンサート』で改良と調整を重ねた同衣装を披露し、見事に成功させたのだった。

 演歌といえば、この人を忘れてはならないだろう。“サブちゃん”こと北島三郎である。1981年・第32回で大トリを務め『風雪ながれ旅』を熱唱した際、演出で雪をイメージした大量の紙吹雪を降らせたのだが、これが北島の口と鼻に入ってしまい、紙吹雪を食べながら歌うハメになってしまったのである。

 そこから時は流れて15年後の1996年・第47回。またも大トリを務めた北島は、再び『風雪ながれ旅』を歌うことになった。前回の反省を踏まえたNHK側は「紙吹雪を降らせるのはマズイ」と判断。歌い終えたところで紙吹雪を大型扇風機で散らせることにし、最後に紙吹雪が大量に出る演出にした。ところが、またしても予想外のことが起きてしまう。

 なんと大型扇風機の風圧があまりに強すぎて、北島まで吹き飛ばされそうになってしまったのだ。幸い逆光になっていたので、テレビを観ていた人にはわからなかった可能性が大きいが、歌い終えた北島は担当ディレクターに向かって「おまえ、オレを殺す気か」と笑ったという。

 続いては、番組開始早々に起きた衝撃のシーンを紹介しよう。1985年・第36回で初出場を果たし、トップバッターを務めた吉川晃司が曲中にシャンパンをまき散らすなど、過激なパフォーマンスを披露したのだ。歌唱後にもギターにオイルをかけて火をつけ燃やすなど、やりたい放題の大暴れ。もちろん、リハーサルではそんな素振りは一切なかった。床が濡れた影響で、その後に登場したシブがき隊の布川敏和が2度も転倒するアクシデントに見舞われている。当然、これ以降、吉川は『紅白』出禁になった。

 NHKらしく受信料絡みのエピソードも残っている。まずは1982年・第33回でサザンオールスターズの桑田佳祐が起こしたハプニングだ。『紅白』のベテランである三波春夫に扮してヒット曲『チャコの海岸物語』を歌ったのだが、間奏中にいきなり「とにかく、受信料は払いましょう!」「裏番組はビデオで観ましょう!」と言い始めたのだ。このふざけたパフォーマンスがNHKの怒りを買い、桑田はしばらく出禁になったという。その後、桑田が再び紅白に出場したのは2010年。実に27年の時を経て和解に至ったようだ。

 続いて、受信料絡みで問題を起こしたのは、とんねるずである。1991年・第42回で、その年大ヒットした曲『情けねえ』を引っさげて紅白に登場。リハーサルの段階から「衣装は小林幸子には負けない!」と豪語していたが、パフォーマンス時の格好は、まさかの格好。なんと石橋貴明が白、木梨憲武が赤の全身ボディーペイントで現れ、実際に身に着けていたのはカツラとパンツと靴のみ。あとはスッポンポンという奇抜さだったのだ。

 さらに、背中には「受信料を払おう」という文字が書かれており、その無茶苦茶ぶりが話題となった。そしてとんねるずも桑田同様にNHKの怒りを買ったのか、それからしばらくNHKの番組に出られなくなったといわれている。復活を果たしたのは2000年・第51回。とんねるずの2人は音楽ユニット“野猿”として再び出演した。

衣装が物議を醸した歌手たち

 1992年・第43回にも衣装で物議を醸した人物がいる。本木雅弘である。なんと大量のコンドームを9つ繋ぎ合わせ、ネックレスのように首からぶら下げて登場。中には白い液体が詰まっているという手の込みようだった。

 場内は最初、気づかなかった人も多かったのだが、やがて観客の一部がざわつき始めた。さらに、間奏でズボンのベルトとファスナーを緩めてお尻の割れ目を半分ほど露出。そのままステージ後方に置いたコンドームを思わせる巨大な風船を持ち上げ、軽やかにダンスを踊って締めくくっている。観るものをビックリ仰天させたこのパフォーマンス、出番を終えた本木は「自分なりにエイズ撲滅のメッセージを伝えたかった」と一言。さらに白い液体について聞かれると、「精子です」と答えてニヤッとしたのだが、なんともお騒がせなメッセージであった。

 2018年・第69回で特別枠として大トリを務めたサザンオールスターズは、35年ぶりにNHKホールでの『紅白』出演となった。『希望の轍』と『勝手にシンドバッド』を熱唱。さらに松任谷由実とも“夢の共演”を果たした。2曲目の『勝手にシンドバッド』に入ると桑田は「胸さわぎの腰つき~」と歌いながら、何度もユーミンの肩や腰を抱き寄せ、「ラララララユーミンさん」と歌いかけたのである。するとユーミンも「ラララララ桑田君」と応えた。

 2人は密着しながら踊り続け、ユーミンが桑田のほおに口づけするシーンもあった。さらに桑田は北島三郎にマイクを差し出すなど大暴れ。平成最後の『紅白』は、まさに“サザン祭り”で幕を閉じ、会場は最高の盛り上がりを見せた。本番終了後に松任谷が語ったところによると、桑田と松任谷のテレビ番組での共演は、1987年の『メリー・クリスマス・ショー』(日本テレビ系)以来31年ぶりだったという。

 パフォーマンス編の最後は、やはりこの事件につきる。2006年・第57回でのDJ OZMAだ。『アゲアゲEVERY騎士』を歌唱中に、女性バックダンサーの脱衣パフォーマンスを敢行。実際は裸体に見えるボディースーツを着ていたのだが、当然のようにNHKには抗議が殺到。そのため番組中に総合司会の三宅民夫アナが「裸ではない」と謝罪・説明するに至ったが、その際、会場からは笑い声が起こった。

中継先からのハプニング

 ここまでは、会場となるNHKホールでのパフォーマンスだったが、次は中継先からの歌唱トラブルである。となれば、2002年・第53回に『地上の星』で初出場を果たした中島みゆきを思い出す人も多いのではないだろうか。黒部ダムの黒部川第四発電所からの中継だったが、その歌唱中に2番の歌詞を間違えたことが当時、大きな話題となった。

 また、中継でのトラブルというと、1990年第41回で「紅白』初出場を果たした長渕剛に尽きる。ドイツ統一という歴史的な年にドイツのベルリンから初の海外中継を行い、史上最長となる3曲・約17分の熱唱。15分以上歌い続けること自体が異例で当然、他の出場歌手からは不評を買うこととなる。中継が押しに押したことで、大トリの森進一の歌唱時間が大幅にカットされる事態にも見舞われてしまった。

 そしてこれだけならまだしも、歌唱直前に「現場仕切ってるの、みんなドイツ人でしてね。共に闘ってくれる日本人なんて、1人もいませんよ。恥ずかしい話ですけど、今の日本人、タコばっかりですわ」と暴言を吐いて司会者たちを青ざめさせた。

 パフォーマンスの間にも、こんなハプニングが起きている。2013年・第64回、AKB48が大ヒット曲『恋するフォーチュンクッキー』を歌い終え、大島優子がセンターを務める『ヘビーローテーション』を歌い始める直前に、それは起こった。当の大島が、グループからの卒業を電撃的に発表したのだ。しかも、突然のサプライズ卒業宣言。総監督の高橋みなみは察していたようなのだが、他のメンバーには誰にも知らされていなかった。当然のように場内は騒然とした空気に包まれることとなった。

 最後は2020年・第71回だ。9人組ガールズグループNiziUが初出場し、『Make you happy』を堂々披露。だが、イントロ開始時、一列に並ぶ際にトラブルが起こったのか、MAYUKAが不在というハプニング(?)が発生。それでも歌唱開始時には9人しっかりそろっており、パフォーマンスを終えている。後に、メンバー全員が揃わなかったことに関してNHK広報局は、「MAYUKAのマイクトラブルでスタンバイが遅れました」などと説明している。

 生放送ゆえにトラブルがつきものの『紅白歌合戦』。今年もハプニングが巻き起こるのか、それとも無事に終わるのか、注目である。

上杉純也/フリーライター

上杉純也/フリーライター

出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーのライター兼編集者に。ドラマ、女優、アイドル、映画、バラエティ、野球など主にエンタメ系のジャンルを手掛ける。主な著作に『テレビドラマの仕事人たち』(KKベストセラーズ・共著)、『甲子園あるある(春のセンバツ編)』(オークラ出版)、『甲子園決勝 因縁の名勝負20』(トランスワールドジャパン株式会社)などがある。

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