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高級クラブや寿司店…麻生太郎氏、政治資金から会合費664万円支出、実質は税金利用

文=横山渉/ジャーナリスト
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麻生太郎氏(自民党のHPより)

 自民党・麻生太郎副総裁が代表を務める資金管理団体「素淮会」の2021年政治資金収支報告書にある麻生氏の高額な会合費に注目が集まっている。1月11日付「日刊ゲンダイDIGITAL」記事によれば、1月21日には渋谷区の高級割烹料理店に32万5380円、同日に銀座の高級会員制クラブに43万9000円を支払っている。8月10日は東京・銀座の高級寿司店「すきやばし次郎」に25万8500円支出している。ほかにも、2月2日に74万6266円をプリンスホテルに支払うなど、都内一流ホテルに数十万円単位の支出を繰り返している。「これら『会合』費用として処理された政治資金は、年間計664万円にも上った」(「日刊ゲンダイ」記事より)という。

政治資金の原資は寄付金とパーティー券販売

 そもそも、政治資金報告書に記載される「政治資金」とはどのようなものなのか。税金は含まれていないのだろうか。政治資金問題に詳しい神戸学院大学法学部の上脇博之教授に聞いた。

「素淮会の21年の主な収入源は、20年からの繰越1億3621万円と、21年の収入8332万5473円です。その収入の主たるものは、寄付金2110万4000円、政治資金パーティー6222万円となっている。なので、税金が原資とはいえないが、それは形式論にすぎない」

 上脇教授が形式論だと断罪する理由は、麻生氏の選挙区支部(福岡県第8区)も政党本部から政党交付金が配布されているからだ。

「高額な会合費が政治資金から支出できるのは、税金が原資の政党交付金(政党助成金)制度があるので、政治資金に余裕ができるから。税金が高級店で使われたのと実質変わらない。高額な会合費の支出は、本当に政治活動のための会合なのか確認ができないし、政治活動のための会合であったとしても、高級店で会合する必要があったのか疑問だ」(同)

 政党本部から選挙区支部に配られる政党交付金は、政党支部の運営費(スタッフ人件費など)に使われている。もし、政党交付金制度がなくなれば、それらの運営費は自分で集めた政治資金から出さなければならないことになる。結局、法的に問題はないものの、道義的には大いに問題ありということだ。

国会議員の財布は政治資金、政党交付金、歳費、その他

 政治献金やパーティー券などを売って集める政治資金の収入や支出については、政治資金収支報告書での提出が義務付けられている。国会議員には歳費と呼ばれる給与があり、旧文書通信交通滞在費(文通費、調査研究広報滞在費に名称変更)や立法事務費もあるが、こちらの使い道についての報告義務はない。高額な会食や会合も、それら自分の財布から出せば、決してバレることはない。なぜ、わざわざ報告書に記載するようなことをするのか。

「歳費は自分の生活費に充てているでしょうから、そういう無駄遣いはできなくて、麻生氏が家族のために本当に使いたいものに使っているのでは。家族から文句が出ない範囲で使っているのではないでしょうか。高級な会食となると、家族から文句が出る可能性がある。旧文通費に関しては、本当に表に出したくない支出に充てている可能性がある。政治資金収支報告書に記載して公になっても、政治活動の会合だと言い張れるし、今までもそれでやってきたし、ちょっと叩かれても支持者が離れることはないと考えているのだろう」(同)

政党助成制度導入で自民党の政治資金はバブルに

 政党交付金を支給される政党助成制度は1994年、非自民連立の細川政権下で導入された。きっかけがリクルート事件、東京佐川急便事件、ゼネコン汚職事件で、利益誘導につながる特定の企業や団体からの政治献金は規制したほうがいいという機運が盛り上がっていった。企業・団体から政治家個人への政治献金は禁止され、政党が指定する「政治資金団体」と「政党」に限定されるようになった。企業献金を将来全面禁止する代償を口実にして導入されたのが政党交付金である。

「野党だった自民党は当時、この制度導入に反対していたが、選挙に勝てば政党交付金がたくさん入ってくることがすぐにわかった。1980年代後半のバブルの頃の献金額を確保するためバブルがはじけた94年に政党助成制度を導入したわけだが、結果的に自民党の懐事情がバブルになった。バブルの頃の企業献金は年間120~130億円といわれていたが、その後バブルがはじけて20~30億に減る。その減った100億円をカバーして余りあるのが政党交付金。政党交付金は国民1人あたり年間250円、総額315億円超だが、その半分が自民党に渡されてきたので、バブル期よりも政治資金は多い。企業献金は全面禁止されることなく自民党は政党交付金と企業献金の二重取りが続いている」(上脇氏)

 自民党本部に支給された政党交付金の多くが全国の選挙区支部に配布されているのは前述の通りである。自民党の元副総裁だった金丸信は政治改革の1年前、1993年に「政党交付金は泥棒に追い銭になる」と警告していたが、現在の状況を見ると、その通りになってしまったといわざるをえない。政党交付金制度で一番得をしている自民党政権では、政治資金規正法をあらためて変えるのはほとんど不可能かもしれない。

横山渉/フリージャーナリスト

横山渉/フリージャーナリスト

産経新聞社、日刊工業新聞社、複数の出版社を経て独立。企業取材を得意とし、経済誌を中心に執筆。取材テーマは、政治・経済、環境・エネルギー、健康・医療など。著書に「ニッポンの暴言」(三才ブックス)、「あなたもなれる!コンサルタント独立開業ガイド」(ぱる出版)ほか。

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