楽天カードが8月1日、同社カード利用客に向けて「楽天カード利用獲得ポイント計算方法変更のご案内」との通知を発表した。
その内容は、従来「毎月のカードショッピング利用金額合計に対して100円につき1ポイント」だったものが、今年11月請求分から「1回のカードショッピング(買い物ごと)の利用金額に対して100円につき1ポイント」となるというものだ。
100円につき1ポイントの還元率、およびポイント進呈日は変更ないとしているが、ショッピングごとのポイント付与とすると、買い物するたびに100円未満の端数が切り捨てられる格好となり、獲得できるポイントが減る可能性がある。
楽天は例として、ショップAで3980円、ショップBで5980円、ショップCで2650円、ショップDで1110円の買い物をした場合、2023年10月以前は合計金額1万3720円に対して137ポイントだが、11月以降はそれぞれ39ポイント、59ポイント、26ポイント、11ポイントを獲得し、合計135ポイントになると説明している。
例示ではたった2ポイントだが、たとえば999円の買い物を10回した場合、これまでは合計9990円に対して99ポイントついていたが、11月以降は90ポイントとなり9ポイントの差が出る。これは買い物の回数が多いほど損が大きくなる可能性があるといえる。
楽天カードについてはここ数年、改悪が続いている。クレジットカード事情に詳しいファイナンシャルプランナーは、楽天カードのヘビーユーザーは使い方を見直す時期に来ていると提言する。
「かつて楽天カードは還元率の高さが人気となり、多くの利用者を獲得してきました。しかし、2021年からたびたび還元率が引き下げられ、今や楽天カードを使うメリットはほとんどなくなっています。特に税金・公共料金の支払いを同カードで行った場合、以前は1%のポイントが付与されていましたが、2021年6月に0.2%と5分の1に引き下げられ、利用者からは“もはや楽天市場専用カードになった”と揶揄されたほどです。実際に計算してみると、自動車税や固定資産税などの国税をクレジットカードで支払う場合、1万円ごとに76円(税抜)の決済手数料がかかるため、楽天カードで支払うと損することになります。
さらに、その楽天市場でのポイントも、楽天ゴールドカードを利用した場合はポイントが+4倍だったものが2021年4月以降は+2倍に引き下げられ、ゴールドカードを持つメリットが極めて薄くなりました。ゴールドカードは年会費2200円なので、毎月楽天市場で10万~20万円買い物するようなヘビーユーザーでなければ、恩恵は少ないといえるでしょう」
では、クレジットカードはどのカードを選べばいいのだろうか。
「還元率や街中での利用に関していえば、今は三井住友カードがお勧めです。最大7%にも上る還元率で、いずれは引き下げられると思いますが、普通のカードもゴールドも還元率が高く、現時点ではもっともポイントが貯まりやすいといえます。また、39歳以下の方であればJCB CARD Wも利用しやすいでしょう。セブン-イレブンやAmazonで買い物をするとポイントが4倍となるなど、利用シーンが広いのが特徴です」
楽天カードは利用者の満足度が高く、カード利用で貯まったポイントを使える店が多い、またポイントをカード利用代金の支払いに充当できるなどメリットが多い。だが、楽天モバイルの巨額赤字が積み重なり、楽天グループ全体の利益を食いつぶしている格好だ。そのしわ寄せが、たび重なるカードの改悪につながっていると指摘されている。そのため、今後もじわじわと利用者にとってマイナスとなる変更が続くのではないかと懸念する声が少なくない。
(文=Business Journal編集部)