近年、スマホは「大容量化」や「高級化」が進んでいます。たとえばiPhone 14 Proには1TBモデルが登場し、価格は22万4800円。ゲーミングPCに相当する価格帯です。
一方でスマホは2年ほどで買い替える一種の消耗品でもあります。するとより安価な「中国製スマホ」への乗り換えを検討する方も多いのでは? しかし中国製スマホはHUAWEI問題に代表されるように、様々な点から危険性が指摘されてもいます。HUAWEI問題についてはこちらの記事でも詳しく取り上げています。
今回はXiaomiとOPPOの端末を題材に「中国製スマホは危険なのか」「XiaomiやOPPOはやめた方がいいのか」実機レビューします。
中国製スマホとは
中国製スマホとは、その名の通り、中国のメーカーが手掛けるスマートフォンです。代表的なメーカーにはXiaomiやOPPO、またHUAWEIが挙げられます。
中国製スマホの代表的なメーカー
このように中国には世界的なスマホのメーカーが集まっています。そのような中国製スマホの雲行きが変わったのは2019年のことです。
2019年のHUAWEI問題をきっかけに世界的なボイコットがはじまる
(画像引用元:HUAWEI公式サイト)
HUAWEIをきっかけに、HUAWEIは独自OS「HarmonyOS」の開発を加速。このことは事実上、同社がAndroid OSを開発するGoogle社から締め出されたことを意味します。
こうした大きな問題に発展した「HUAWEI問題」ですが、HUAWEI以外のXiaomiやOPPOといったメーカーにも「インターネット安全法」を理由に同様の危惧が寄せられているのが現状です。
中国製スマホの危険性と懸念点
中国製スマートフォンに対する主な懸念点としては、プライバシーとデータの安全性、サイバーセキュリティとスパイウェアのリスクが挙げられます。
前述の通り、中国には「インターネット安全法」「国家情報法」が存在し、これらの法律に基づいて中国製品や中国製アプリで収集されたモバイルデータ通信の記録や個人情報は、中国に渡る可能性があるためです。
こうした懸念はハードウェアだけに寄せられている訳ではなく、たとえば「TikTok」の危険性も指摘されています。
TikTokの危険性については以下の記事で解説しているので参考にしてください。
もっとも製品やアプリの「バックドア」に対して、ユーザーが個人レベルでできることは限られているのも事実です。スマホの購入に関しては、技適認証を確認したり様々なレビューをチェック。また購入後の利用についてはGoogle Playプロテクトで安全性をチェックするといった使い方が現実的でしょう。
その上でどうしても不安であれば「使わない」ことをおすすめします。
【検証】OPPO Reno7 Aを実機レビュー
ここからは実際にXiaomiとOPPOの端末をそれぞれ実機レビューしていきます。
まずはOPPO Reno7 Aをレビューします。安全性に関する項目としては技適認証やGoogle Playプロテクトについて触れつつ、それ以外の項目としてはせっかくの機会なのでベンチマークスコアやカメラ性能もご紹介します。
さっそく安全性や使い心地などを実機レビューしていきます。
技適認証は得ているの?
技適とは「技術基準適合証明」のことで、技適マークがある端末は「電波法令で定めている技術基準に適合している無線機」であることが証明されます。
●総務省「電波利用ホームページ」は→こちら
つまり本端末は総務省の認可をきちんと受けたスマホであることが分かります。
動画視聴
ベンチマークスコア
CPU性能は以下の通りです。
バッテリー
OPPO Reno7 Aは4500mAhの大容量バッテリーを搭載していることも特徴。4500mAhはハイエンドモデルのバッテリーに匹敵します。
カメラ性能
Google Playプロテクト
続けてXiaomi編です。今回はXiaomiのRedmi 9Tを実機レビューしてみます。
(画像引用元:Xiaomi公式サイト)
Redmi 9Tも総務省の技適認証を得ており、Google Playプロテクトでもアプリの安全性に問題なし。そのためいくつかの欠点を除けばミドルローのスペックとしては非常に優れた端末です。ただし「メインスマホ」にはおすすめはしません。
技適認証は得ているの?
●総務省「電波利用ホームページ」は→こちら
動画視聴やネットサーフィンはある程度はサクサク
ベンチマークスコア
デュアルアプリが利用可能
2年間利用してもバッテリーのヘタリは無し
ちなみに前述したGalaxyは、筆者の場合は2年ほど利用するとバッテリーの発熱も消耗も激しく「ポケットに端末を入れるのがためらわれる」のが正直なところでした。バッテリー性能に関しては、あくまで筆者の個人的な体験としてはSAMSUNGよりXiaomiの方が優れている印象です。
SIMカードの2枚差しが可能だが注意点も
Xiaomi Redmi 9TはSIMカードの2枚差しが可能です。ただし2枚差しはおすすめしません。理由は2022年1月18日に、Xiaomiが「デュアル SIM 機能をご利用の際に、 特定の条件下において緊急機関(110 番、118 番、119 番)へ発信できない場合があること」を発表済みである点。
緊急通報は常に安定的に行えることが望ましく、「発信できない場合がある」のであればデュアルSIM自体を本端末では使わないことをおすすめします。
参考元:Amazon「REDMI 9T をご利用中のお客様へ」
NFC機能に非対応なのも難点
カメラ性能は低い
Google Playプロテクトでも有害なアプリはヒットせず
総じてOPPO Reno7 Aと比較すると端末の性能が大きく劣ることに加え、デュアルSIM利用時の緊急通報の不安定さなど利用の不安点はいくつかあります。そのためメインスマホとしては「やめた方がいい」と筆者は考えます。一方でサブスマホとしてであれば、活躍の幅が一定程度あると言えるでしょう。
中国製スマホはなぜ安いの?
XiaomiとOPPOの端末を実機レビューしましたが、やはり多くの方にとってこの2つのメーカーの「安さ」は魅力に映るでしょう。メインスマホとしては不安な点があったとしても、サブスマホとしても手に取りたくなる価格帯です。安さの秘密は、大きく分けて2つです。
部品調達コスト
まず最大の理由は「部品調達コスト」の安さにあります。中国は人件費が安く、製造コストが安く、なおかつ工場が中国国内のメーカーに卸す場合は輸出のコストもかかりません。そのため中国国内のメーカーは安価に部品を調達し、スマートフォンを製造できます。最終的に国外に輸出するとしても「部品をそれぞれ輸入して組み立てる」のに比べれば、はるかに安価です。
マーケットサイズが大きい
中国は輸出に強いのはもちろんですが、内需も非常に大きいです。部品調達コストも安いため、アメリカや日本のメーカーよりも大きく値引いた価格で「薄利多売」をしても、十分な売上になるという一面もあるでしょう。
中国製スマホのデメリット
「安いから」といって中国製のスマホを利用するのは、デメリットもあります。筆者が今回検証したように、確かに中国製のスマホは技適認証を得ており、怪しいアプリも検出されません。しかし、それでも「バックドアが仕込まれている可能性」があるため、世界的な問題になっているという一面があるのです。
個人情報流出のリスク
前半で解説した通り、中国の各種法律によって端末のモバイルデータ通信の記録や個人情報は最終的に中国政府に渡る可能性があります。ハードウェアだけでなく、アプリでも危険性は指摘されています。たとえば実際にTikTokにはバックドアが仕込まれているという内部告発者の証言もすでに国内で報じられています。
参考元:TikTokに中国向け「バックドア」が存在、内部告発者が証言
そのため中国製のアプリやハードウェアを使う際は、個人情報流出のリスクも常に意識しましょう。
Android OS及びGoogle Playから締め出されているメーカーも
前半でHUAWEIのHarmonyOSについて紹介を行いましたが、やはりAndroidやGoogle Playが利用できないケースがあるのはデメリットです。HUAWEIに対して行われた数々の措置が、今後他のメーカーに飛び火する可能性もまたゼロではないでしょう。
HUAWEIのHarmonyOSが飛躍的な進歩を遂げていることも、無視できません。HarmonyOSは中国国内を中心に大きく広まっており、世界第3位のOSへと成長しています。HarmonyOS 4では対話型AIの搭載も発表済みであり、HUAWEIにとって「自社で世界第3位のOSを保有していること」は大きな強みになりつつあります。
参考元:HUAWEI HARMONYOS IS SPREADING LIKE WILDFIRE
HarmonyOSの基本機能はすでにオープンソースであり、他の中国製スマホがHarmonyOSを取り入れるといった展開もあり得なくはないでしょう。いずれにしても中国製スマホを使うのであれば、「HUAWEI問題の今後の展開」は中止すべき最重要事項の1つです。
まとめ
今回は中国製スマホの危険性や、Xiaomi・OPPOの端末はやめた方が良いのかを実機レビューしました。まずユーザーレベルで確認やある程度の対応が可能な「技適認証」「Google Playプロテクトによる有害なアプリの検出」についてはいずれのメーカーもまったく問題ありませんでした。
端末の性能も、あえて言えばXiaomiのRedmi 9Tは不足感が強いものの価格を考えると「サブスマホとして及第点」でした。とはいえこれらの検証は「バックドアの存在を否定できるもの」ではありません。そのため現実的には「中国製スマホのコストパフォーマンスや利便性などを重視するか」「安全性を重視するか」をユーザー個々人が判断して、利用することをおすすめします。