停滞する大企業はここがダメ!ハズレの中途採用社員を放置、ムダなコンサル会社に億単位払う…
少し前に世間をにぎわせた大塚家具の経営権をめぐる騒動ですが、結局は株主総会で大塚久美子社長が経営の舵取りを任されることになりました。久美子氏とその父・勝久会長の両陣営が株主総会へ向けた票集めに奔走している当時、「週刊文春」(文藝春秋)記事にあった古参役員の「これからの方針や会社の運営方法が間違っていようがなんだろうが、親父とは心中できるが、娘とは心中できない」というコメントが印象的でした。
著者は業績が悪くなったワンマン企業をたくさん見てきましたが、多くの場合、ワンマン社長が辞めると、慕っていた古参幹部たちも一緒に辞めていく……わけではなく、何事もなかったような顔をして普通に仕事を続けます。そんな著者の常識からはすがすがしく逆をいくコメントでしたので、印象に残った次第です。人を率いる力を持った親と、論理的に考える力を持った子――。歩調が合えば最高の組み合わせに思えますが、人間と企業とは、なかなか難しいものですね。
本連載では前々回、前回とダメな中小企業に共通してみられる現象についてみてきましたが、今回と次回は、立派な大企業でもどこか停滞した、働いている社員があまり生き生きとしていないような大企業に共通してみられる現象について考察していきます。
(1)採用が手段でなく目的になる
高齢化社会が本格化し生産人口が減っていくにつれ、順調な企業であっても社員不足という問題が深刻になってきました。就職氷河期に採用を絞った世代が今30代後半~40代になり、組織の中心として働くべき世代が不足している企業は多々あります。
そこでここ5~10年くらいの動きとして、新卒採用を中心にしていた企業が初めて中途採用を本格的に実施するようなケースが増えてきました。こうした企業は、過去に数多の不況下でも採用について画一的に対応し、おおよそ財務状態は立派なケースが多いです。ただしコインの裏返しのように、組織は硬直化していることも多いです。それでも企業は成り立つことができ、安泰だったからです。
そうした企業がよく打ち出す求人内容は、「変革者・リーダー募集」というものです。事業を一段成長させるためにどうするかということを議論して、さまざまな方策などを立て、最後に「やはり新しい血を入れよう」「停滞した組織を活性化させよう」と展開されたと推測されます。
ただ、そこで「では、どういう人材が良いか?」という話になると、それまで中途採用で取引先や縁故関係で採用したことはあったとしても、本格的な中途採用は初めてなので、人事担当者含めていろいろな想像を膨らませます。「うちの事業を知らない人間を入れていいのか」「組織の和を乱されたら本末転倒だ」「高い給料を要求するのではないか」などです。