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中沢光昭「路地裏の経営雑学」

停滞する大企業はここがダメ!ハズレの中途採用社員を放置、ムダなコンサル会社に億単位払う…

文=中沢光昭/経営コンサルタント
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 すると、表だった応募条件には書けないものの、裏の条件がいくつかつくことになります。著者が実際に聞いた例で最も多いのはやはり、「転職は2回まで」や「偏差値●以上の大学出身」など、転職回数と学歴についてです。極端な人事担当者になると、大学別に学部まで指定してくるそうです。ほかには「男性は30代中盤以降の独身者はNG」「男性で健康な親と同居しているのはNG」などを指定したりと、実に細かいこだわりを持つそうです。しかし、表だった応募条件、求める人材像には一切そうした内容は出しません。「既成の概念に捉われず、考えながら臨機応変に行動できる人」などと書かれます。実際にNG条件に合致した人が応募してきた場合は、書類審査で即落とします。

 こうした企業は、いつまでも青い鳥を求めて人材を探し続けるわけではなく、社内のカルチャーをくみ取ったようなおとなしい人を採用し、結局、淀んだ空気はそのままであり続けます。

 さらに、周囲の人間の誰もが “ハズレ”だと思ってしまうような人を採用してしまったと気づいた時には、何か別の生産的な業務への異動や退職勧奨を模索するわけでもなく、放置して知らないふりをしがちです。知らないふりをするのはそのハズレ採用者を推薦した部門長ですが、自分が採用した人間がハズレだったことを認めてしまうと自分の失点になりかねず、「責任をもって適切な部門への異動や退職勧奨をするように」などと人事から言われても面倒です。そこで、放っておくのが一番という発想になります。ただし、それには過剰な人材を抱えていても大丈夫なほどの業績が前提となります。

(2)責任のアウトソース

 大企業特有の現象ですが、有名コンサルティング会社が計画作成やさまざまなプロジェクトに関与しているケースがあります。著者だけの感覚かもしれませんが、コンサルティング会社の使い方が、10年くらい前から大きく変わってきたように思えます。

 それより以前は、大きな費用をかけるのだから多少なりとも社運を賭けるようなプロジェクトを立ち上げ、市場や自社のデータを改めて自社とコンサルティング会社とで頭をひねりながら分析し、見えてきた課題に真剣勝負を挑んでいました。絵を描くフェーズと結果を追求するフェーズを合わせて取り組んでいたのです。

 ところがこの10年くらいの傾向として、絵を描くフェーズと結果を追求するフェーズは別物となり、また、大企業が有名コンサルティング会社を、中小企業は中規模以下もしくは個人で活動するコンサルタントを雇うようになりました。当然、報酬は前者のほうが1桁も2桁も上です。

 一見すると、絵を描くだけのために数千万~数億円の報酬を払ってコンサルティング会社を使うことにどれほどの意味があるのかと思われますが、そこには内部の人間にとっては大事な意味があります。何か大きなことに取り組まなければならない時に、社内で提案する側にとっても、それを受けて社内で決裁する側にとっても、責任を回避できます。将来的に何か不都合な事態が起こったとしても、その時点ではすでにいないコンサルティング会社のせいにできるからです。また金融機関などに対しても、「私たちだけでなく、外部のプロもそう言っています」という錦の御旗を振ることができます。

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

企業再生コンサルタント兼プロ経営者。
東京大学大学院工学研究科を修了後、経営コンサルティング会社、投資ファンドで落下傘経営者としての企業再生に従事したのち、上場企業子会社代表を経て独立。雇われ経営者としてのべ15期以上全うし、業績を悪化させたのは1期のみ。
事業承継問題を抱えた事業会社を譲受け保有しつつ、企業再生とM&Aをメインとしたコンサルティングおよび課題内容・必要に応じて半常勤による直接運営・雇われ経営者も行う。シードステージのベンチャー企業への出資も行う。
株式会社リヴァイタライゼーション 代表・中沢光昭のプロフィール

Twitter:@mitsu_nakazawa

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