とにかく、夏のウィスラービレッジはマウンテンバイクを楽しむ観光客でいっぱいだ。
麓のビレッジには10軒を超えるマウンテンバイクのレンタル店が軒を並べ、数十ドル支払えば、マウンテンバイク、ヘルメット、プロテクター、ライディンググローブなどを一式借りることができる。
麓から山頂に向かうスキーリフトは、1台おきに座席が取り払われ、代わりにバイクラックが設置されている。リフト券を購入して、マウンテンバイクをリフトに乗せ、自分はその後のリフトに座って山頂を目指すのだ。
そこから先は、基本的にスキーやスノーボードと同じだ。コースは初心者、初級者、中級者、上級者に分かれていて、自分の技量に合わせてマウンテンバイクで滑り下りていく。
初心者の場合、まずはカーブを曲がる技術を身につければ、比較的なだらかな山道を左右に曲がりながら麓まで下りることができる。中・上級者コースでは、猛スピードのマウンテンバイクが、あらかじめ設計されたコースに沿ってジャンプと着地を繰り返して滑空していく。それはテレビのスポーツ番組でしか見られないような光景であり、みな技量に優れている。スキーのモーグルのバイクバージョンといった感じだ。
興味を持ち、「ウィスラーに行ってみたい」という人のために念のためお伝えしておくと、最初は必ずバイクレッスンを受けたほうがいい。費用は、機材一式のレンタルとリフト券込みで、2時間のグループレッスン135ドル(約1万4000円)からだ。自分の技量に合わせたプライベートレッスンまで、さまざまなコースが用意されていて、ビレッジの麓で申し込むことができる。
マウンテンバイクは、街乗りの自転車とは操作技術がかなり違う。基本的な乗車ポジションは、ペダルを左右同じ高さにした立ち乗りで、曲がるときはハンドルではなく車体を傾けて曲がる。
バイクレッスンを受ければ、こういった初歩的な技術をなだらかな場所で教えてくれる上、レッスンの後半ではインストラクターと一緒に初めてのダウンヒルを経験することができる。そういう意味では、観光客にとってお得なオプショナルツアーといえるだろう。
二毛作で生まれたビジネスチャンス
さて、タイトルに関係する話に戻すと、このマウンテンバイクは二毛作として非常に優れたビジネスモデルである。
雪が解けた後のスキー場をそのまま(ある程度はバイク用に作りこまないといけないが)バイクのダウンヒルとして転用することができる。スキーリフトも、少し改造すればバイク用に使える。つまり、ゴルフ場やテニスコートを作るのに比べて、追加投資が少なくて済むのだ。
スポーツとしての志向も、スキーやスノーボードとマウンテンバイクは似ている。爽快なスピードで山の斜面を滑り降りてくるという点では、まったく共通しているからだ。