消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
「責め合わない」というのは一見居心地がよいようにも思えますが、健全な議論を欠き社員の目線が内向きになることで緊張感を欠き、課題に対するPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルも回りにくく、硬直化した雰囲気になります。部門で細分化された人事評価制度があるために、自部門の目標だけ守り通すことを目指せばよくなっているようなことも、根底にあります。夜の宴席や陰では、同僚や自社の別部門について悪い点を茶化して盛り上がったりします。酒の勢いで「あいつら許せねえ」と息巻いていても、翌朝には何も行動することもなくケロッと許しています。
また、そのような企業では「なんであの人が?」という成果の低い社員であっても、あからさまには冷遇されません。その理由は、ダメな先輩が容赦なく冷遇されたりぞんざいに扱われたりすれば、若手がそれを見て恐怖におののき、余計に保守的になり、モチベーションダウンにもつながるという見方があるためです。ただし、それはモラルハザードというリスクが関係ないくらい、業績としては安定していることが前提条件となっています。
終わりに
以上2回にわたって、立派でもどこか停滞する大企業に共通して見られる現象について述べてきました。ただ諸々のことについて、筆者は20~30代の頃、「すぐに正さないと、将来会社は生き残れない」くらいに思っていました。しかし結果的に、ダメだと思った大企業のほとんどは今でも生き残っています。やはり、事業基盤が確立されているということはビジネスにおいて絶対的優位であり、「社員に活気がない」「内向き」などといった負の面を凌駕してしまうというのが、現在の筆者の感覚です。そこを無理に変えようとする力や資金があるならば、もっと事業基盤を強固にする具体的な方策に使うべきであるとも今は思います。
もしそうした大企業で働いている人が「やっぱり鶏口牛後だ」と考え、やりがいや活気を求めて中小企業に行こうと考えるならば、冷静に今の企業環境から受けている恩恵をきちんと理解してから判断しても、遅くはありません。もっとも、そうした恩恵は失ってみないと理解できないのが難しい点です。
(文=中沢光昭/経営コンサルタント)
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