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証券のガリバー野村HD、1千億円赤字で経営不安広がる…永井CEOへ投資家が不信任

文=編集部

「創業家の岡野家がいまだに筆頭株主である状況が、他社との資本提携の障害になっている。すぐに(創業家関連企業への)融資を引き戻して株を取り戻すべきだ」という株主の質問に対し有國社長は、「創業家の保有株(の返還)はいろいろな方法を模索している。早急に取り組んでいるが、具体的なやり方は守秘義務がある」と語った。

 シェアハウス問題を迅速に解決できるかどうかが経営再建のカギだと訴える意見に対し、「元本カットのみならず抜本的な解決策を進めていく。個々の事案については引き続き個別に協議していきたい」と述べた。

「ここ20年、スルガ銀行は首都圏ばかりを向いて、地方をないがしろにしてきた。今後、地元に根差した営業活動をしてほしい」との声も出た。

 経営を支配し、不生融資の温床となった創業家は経営から離れたものの、株式を保有し続けており、影響力を保持したままだ。一連の不正問題を受け、預金流出など客離れも進んだ。19年3月期の連結決算で、不正融資に伴う貸倒引当金の計上が響き、純損益段階が971億円の赤字(18年3月期は69億円の黒字)に転落し、配当もゼロとした。

 経営再建に向け、有國社長を除く5人の取締役が退任し、新たに6人が就任する新経営体制や、企業統治を強化するため監査等委員会設置会社への移行などを諮る議案が承認された。

 社内取締役は有國氏のほか、副社長に佐川急便の親会社SGホールディングスで取締役を務めた嵯峨行介氏、上席執行役員審査部長の堤智亮氏。社外取締役は投資ファンド、トパーズ・キャピタル会長の松田清人氏。社外取締役で監査等委員を兼ねるのが野下えみ氏、行方洋一氏、大野徹也氏の3人の弁護士だ。

 スルガ銀行は、経営への絶大な影響力を持ち、不正を防げなかった創業家との関係遮断のため、創業家が保有する13%の株式の引受先や、再建に向けた支援企業探しを進めてきた。

 5月には、消費者金融の「レイク」など個人向け融資に強みを持つ新生銀行や、スルガ銀行に4.99%を出資する神奈川県地盤の家電量販店ノジマと業務提携で基本合意した。ノジマは追加出資を、新生銀行は出資を検討していると伝えられているが、現行の状態は資本提携に踏み込まない中途半端なものだ。創業家がいまなお株式を保有していることがネックになっている。

 シェアハウス投資をめぐる不適切融資で引責辞任した岡野光喜前会長ら創業家側からの説明や謝罪は一切なかった。

 総会の出席者数は、過去最多だった昨年(406人)を上回る556人。総会所要時間は昨年の3時間15分を超える3時間22分に及んだ。

 総会後、シェアハウス所有者らの弁護団が記者会見を開いた。河合弘之弁護士は「シェアハウス問題の解決なくしてスルガ銀行の再建はない」と述べた。所有不動産を銀行側に引き渡して、それで債務の全額返済とする「代物弁済」について「交渉している。かなり煮詰まってきている」と明らかにした。

BusinessJournal編集部

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