筆者の後輩が先日、実家を継ぐために故郷の四国に帰った。中核都市からは少し離れた、長閑な田舎だという。先日、久しぶりにその後輩と電話で話をした。彼は大学生活を東京で送り、そのまま就職。仕事が忙しく、めったに帰郷しなかったらしい。およそ5年ぶりに帰った故郷は、大きく変わっていたという。
「少子高齢化で過疎化が進み、地元は本当にさびれています。とにかく自動車がなければ生活ができません。その上、ガソリンスタンドがどんどん閉店し、最寄り店まで約20キロも離れているのです。ガソリンスタンドに行くためにガソリンを確保しておかないならない状態です」
地方都市では、自動車は生活に欠かせない移動手段だ。電気モーターを併用したハイブリッド車が普及してきているとはいえ、ガソリンスタンドが近くにないのは、ひどく不便だろう。
資源エネルギー庁によると、2015年3月末の全国の揮発油販売業者数は1万6429。14年3月末に比べて774業者も減少している。ピーク時の1989年3月末の3万2835業者と比べると、1万6406業者も減少した。つまり半減しているのだ。
では、ガソリンスタンドはどうか。15年3月末時点で全国3万3510店となっており、14年3月末と比べて1196店減少している。ピークだった94年3月末の6万421店と比較すると2万6911店所の減少となり、こちらも約半減したことになる。そう、ガソリンスタンドはどんどん姿を消しているのだ。
ガソリンスタンドが減少している背景には、人口減少と相まって利用者が減少し経営難に陥る、従業員の確保が困難になる、あるいは後継者がいないなど、さまざまな理由がある。だがガソリンスタンドは自動車の給油をするだけではなく、冬季の暖房用灯油を購入する場所でもあり、生活に欠かせない役割を担っている。
ガソリンスタンドの減少は全国的傾向
実はガソリンスタンドの減少は、地方で集中的に起きているわけではない。給油所数がピークだった94年3月末から15年3月末までの間にガソリンスタンドが減少した割合を都道府県別に調べると、最もガソリンスタンドが減少しているのは東京都の60%減だ。そのほかにも、大阪府が56%減、広島県が54%減、神奈川県・愛知県が51%減などとなっている。