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「半導体の中でも、自動車や家電などに使われる複数のチップをひとつにしたシステムLSIは、すでにリストラの俎上に載っている可能性が高い」(業界筋)
これまで東芝のシステムLSIは赤字に苦しんできており、ルネサス エレクトロニクスなどとの統合話や外資への工場売却が浮かんでは消えた。東芝関係者は「これまでは、統合するにしても東芝が主導権を握りたかったり、売却が折り合わなかったり条件が合わなかった。今回の不祥事による財務悪化で、そんなことを言っている段階ではなくなった。すでに米国の複数の半導体会社が関心を示していると聞く」と、事業切り離しの再加速は待ったなしのようだ。
最大の関心は、NAND型フラッシュメモリの行方だろう。経済産業省の中には半導体事業をまるごと分社化して、段階的にルネサス エレクトロニクスとの統合を模索する動きもあるという。
ただ、前述のように、東芝としてはNANDを手放せば大きな収益の柱を失う。「東芝のNANDは世界的に見ても技術優位性は高いが、原発技術は特に優れているわけではない」(アナリスト)。
田中氏の後任として新社長に就任した室町正志氏は半導体畑出身。利益を稼ぎだしながらも、社内では重電部門や家電部門に比べて一段落低く見られていた経緯があり、半導体への思いはひとしおだ。原発などインフラ部門とNANDを残して成長投資するためにも、システムLSIや家電など収益性の低い部門を売り払う――。大胆さには欠けるが、これが現実的な「解体」策といえるのかもしれない。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
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