Oracle Cloudで認知症対策が進化
――連携の具体的な中身について教えてください。
井上憲氏(以下、井上) 私が代表を務めるジョージ・アンド・ショーンでは、位置確認情報技術を活用した、高齢者や子ども向けの見守りサービスを提供しています。そのなかで、迷子防止やご家族の方へのアラート発行のための非常事態行動を検出するAIの開発を行っておりました。これを特に、高齢者の方の行動に焦点を当てたときに、徘徊行動や日常の行動量の変化といったかたちにすることで、認知症やMCIの方の行動として解析できるのではないかと考えました。現在では、NTT西日本のセンサー技術をかけ合わせることで位置情報に限らず、さまざまなセンシングデータを用いて、この行動の変化をとらえる新たなAIエンジンの開発を共同で推進しています。
――その開発基盤に、オラクルのクラウド環境を導入したということですね。
槇林 従来であれば、サーバーを用意してプログラムを構築するという作業があり、場合によっては数カ月の時間を要していましたが、クラウドを導入することで開発準備期間は数週間と大幅に短縮されました。もともと、このプロジェクトのきっかけは、当社の開発者と井上さんが実体験としてご家族の認知症の介護に直面し、何かできないかというところから始まっています。開発現場の高い熱量にこたえていくためには、迅速な環境構築や柔軟な環境が重要です。オラクルのクラウドは、サービスが幅広く提供されているため、必要なものを組み合わせて利用することができ、より開発やテストのスピード感が増したといえるでしょう。
井上 2020年には「5G」の実用化やIoT時代に向けた無線通信技術が本格的に普及するなど、今はネットワーク側の技術も進化しており、集積するデータも従来の何千倍、何万倍という規模で増えています。AIのアプリケーション開発では、データの統計処理やAI分析のためのパフォーマンスの高さも求められ、集積したデータへのアクセスの速さ、ローコストに長期間データを保持していくことも必要となります。構築の迅速性に加えて、そのような複数の観点で、Oracle Cloudに優位性があるという判断をいただいています。
――Oracle Cloudを活用しながら、今後はどのような認知症対策を行っていきますか。
槇林 今後としては、さまざまな地域の方々と実証実験を行うなかで、認知症予防のプログラムやシステムを完成させ、一刻も早くソリューションを提供したいと考えています。今、日本は多くの社会課題を抱えています。NTT西日本をはじめキャリアのクラウド化は進展していくと考えられる、ローカルなクラウドとOracle Cloudなどのパブリッククラウドをシームレスに連携させることで、最適な技術の組み合わせとして、地域ごとの課題解決に柔軟かつタイムリーに対応できるようになるのではないかと期待しています。それらが解決された先には明るい未来が待っていると思います。元気でイキイキとした地域社会の実現に貢献していきたいです。
(構成=長井雄一朗/ライター 撮影=尾藤能暢)
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