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宮沢氏は、1991年から内閣総理大臣を務めた宮沢喜一氏の甥だ。洋一氏も喜一氏も、前税調会長の野田氏と同様に、財務省(旧大蔵省)OBである。洋一氏は財務官僚時代、損失補てんや総会屋不祥事といった証券スキャンダルの収拾に努めた経歴を持つ。官僚出身らしい政策通の政治家だ。秘書による政治資金規正法違反問題を問われて辞任した小渕優子氏の後任として経済産業大臣に就いたが、それ以前は野田税調のメンバーとして雑巾がけも厭わなかったといわれるだけあって税制に詳しい。
新聞によると、宮沢氏は、野田氏ら歴代会長と比べて国会議員としての当選回数が少なく、「軽量級」(17日付日本経済新聞)だそうだ。しかし、本人はそんな声をものともせずに、就任早々精力的に軽減税率導入問題に取り組み始めたわけだ。21日付同紙のインタビューでは「(17年4月に軽減税率を導入するには)11月半ば過ぎには自公両党で大筋合意する必要がある。この短期間で実現するのは至難の業だが、必ず成功させなければいけない」と意気込みを語っている。
肝心の軽減税率の中身について、宮沢氏は船出となった16日の記者会見で、「財務省案は残っていない。いかなる形での軽減税率ができるかを、これから知恵を出さなければならない」と強調したという。マイナンバーカードを使って軽減分を還付する方式に、はっきりとダメ出しをしたのだ。これは、軽減税率の対象商品を購入する際は、標準税率の10%ではなくて、店頭で軽減税率分(例えば8%)を支払えばよい仕組みにすることを意味している。この点は、自身の会長就任の経緯を踏まえた適切な判断といってよいだろう。
だが、この発言で、われわれ納税者が宮沢氏に下駄を預けても安心と考えるのは早計だ。前述の新聞インタビューで宮沢氏は、軽減税率導入に向けて、財政健全化を優先する基本方針を明らかにしているからだ。このインタビューで、税調会長として最も大切なのは「安定財源の確保」であり、対象品目について「予断を持たない方がいい」と述べている。つまり、確保できた財源に応じて対象品目を決めればよく、公明党が提示している「酒類を除く飲食料品」をすべてカバーすることにはこだわらないということだ。
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