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乗客としては予約の手間が増えるものの、確実に荷物を置けるようになるという点はメリットだ。一方で、今回の新制度にはJR側の別の狙いも見て取れるという。
「JR東海からすれば、事前に予約さえすれば無料で場所を手配するのだから、誰も損をしないと言いたいのだと思います。一方で、特大荷物の持ち込みによる車内・デッキの混雑や荷物の取り扱いをめぐるトラブルの増加、また、テロ対策の観点から持ち主不明の荷物への対応を強化しなければならないことを背景に、五輪開催を大義名分に『車内をコントロールするための新制度』を導入したかったという見方もあるでしょう」(同)
日本人でも「新制度を知らなかった」というケースが予想されるだけに、外国人客と同様にトラブルの元になる可能性もあるだろう。
五輪後はリニア開業で輸送力に余裕も
枝久保氏は、この制度は五輪開催と訪日外国人急増に対応するための応急処置であり、過渡的な制度になるのではないか、と言う。
「この煩雑な制度を未来永劫続けるとは思えません。共通の車両を使用する東海道・山陽新幹線と山陽新幹線に乗り入れる九州新幹線単独の導入であり、東北新幹線や北陸新幹線では車内の荷物置き場を拡張する方向で対応しています。
現在、東海道新幹線の輸送力は飽和状態にあり、座席を削減して荷物スペースを拡張することができません。しかし、リニア開業後は輸送力に余裕が出るため、東海道新幹線の車内にもゆとりある荷物置き場が整備されるでしょう。新制度は過渡的な扱いになるのではないかと思います」(同)
リニア中央新幹線の開業は品川~名古屋間が27年の予定で、最終的な全線開業は45年だ。その頃、この新制度はどうなっているのだろうか。
(文=沼澤典史/清談社)
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