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若林氏など辣腕トレーダーの引き抜いたことにより、丸紅の穀物部隊は商社最強となり、最大の消費地の中国市場に勝機を見出した。中国食糧備蓄管理総公司(シノグレイン)傘下の油脂事業会社であるシノグレイン油脂(北京市)、飼料最大手の山東六和集団(山東省)と提携。両社との合弁会社を通じて中国内に15カ所程度の搾油工場を数年内に建設。丸紅が原料となる穀物を供給することになっている。
中国向けの取引増加により04年に約700万トンだった穀物の取引量は現在では約2200万トンにまで急成長し、穀物で丸紅は総合商社のトップに立った。
穀物部隊を率いる食糧部門長の若林氏のミッション(使命)は、手つかずの中東・アフリカへの展開。世界規模で穀物の集荷から販売、加工まで一貫体制を築き、「3000万トン・クラブ」と称される穀物メジャー入りを果たすことだった。
若林氏はミッションを達成するまでの時間を大型M&A(企業の合併・買収)で短縮したことになる。ガビロンの買収により、穀物メジャーの仲間入りを果した。しかも、「3000万トン・クラブ」を一気に飛び越えて、穀物取扱量は4000万トン規模に拡大。世界首位の穀物メジャー、米カーギルに並ぶ。若林氏は居並ぶ穀物メジャーを抜き去り、トップランナーに躍り出たのである。
丸紅の穀物メジャーへの挑戦は、新興国での既存の穀物メジャーと深刻な”対立”を生む可能性がある。丸紅の現在の取扱量は、既存のメジャーからの買い付けに支えられている。虎の尾を踏めば手痛いしっぺ返しを受けかねない。
これまで丸紅は電力業界と紙パルプに強いといわれてきたが、いまや穀物が主力事業。朝田照男社長の後任レースは、穀物事業の大躍進の立役者で、食糧部門と食品部門を管掌する常務執行役員の岡田大介氏が台風の目となってきた。朝田氏が社長に就任したのは08年4月1日。取締役の任期は03年から1年(従来は2年)に変更された。在任5年を終了する来年に社長交代があっても不思議はない。
穀物メジャー入りが丸紅のトップ人事に、どのような影響を与えるか。他商社が注目している。
(文=編集部)
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