スタバとディズニーRの顧客満足度低下…なぜ「些細な不満」が目立ちやすいのか?
「日本企業には優れた技術があるが、マーケティングのノウハウがないために海外企業に負けてしまう」という解説がよく聞かれ、書店にはマーケティングに関する書籍があふれている。また、マーケティングと聞くと華やかな職種というイメージも強く、就職活動中の学生の間にも志望する向きが多いようだ。
本連載の前回記事では、「マーケティング・ブレンド」を元にした商品の売り方について解説したが、今回は、なぜ企業はこのように「顧客満足」にしのぎを削るのかを考えてみよう。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に話を聞いた。
大企業ほど凋落が注目される
――顧客満足度というのは、企業にとってそれほどまでに重要なのでしょうか。
有馬賢治氏(以下、有馬) そうですね。消費者の意向の指標である「顧客満足度」というのは企業の企画や活動の指針となるので、どの会社も重視します。たとえば、前回「マーケティング・ブレンド」の解説をしましたが、アンケートの結果を見て、そのブレンドを組み替えるケースも多々あります。消費者の気は変わりやすく、市場の変化も激しい昨今、顧客満足度はマーケティングの方針を決める大きな参考になるわけです。
――その顧客満足度の結果自体が、ニュースになることも多いように感じます。
有馬 昨年、カフェ業界では前回顧客満足度1位だったスターバックスコーヒーが、3位に後退したことがニュースとなり、今年初めには東京ディズニーリゾートの顧客満足度指数が、暫定値とはいえ毎年繰り広げていたトップ争いから下落したことも話題となりました。確かに、その分野でトップシェアを誇る企業の変化というのは、多くの人が注目しますよね。
――“凋落”がパブリックイメージになってしまうということでしょうか。
有馬 それに近いですね。たとえ競争相手との顧客満足度の数値差が僅差であったとしても、一般の人のイメージは下がってくるでしょう。顧客満足度が低下したという記事が出てしまうと、消費者は自己の体験と照らし合わせて、それまで忘れていた些細な不満を思い起こしてしまうこともあります。近年ではそのような不満はすぐにTwitterなどのSNSで拡散されてしまい、さらなるイメージの悪化につながってしまうのですね。