消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
アメリカでは最近、こんなことがよく起きている。空港や港で中国から到着した組立家具の入った荷物をX線に通してみたところ、合板の中の空洞に大量のブランクカードが隠されているのが見つかった。それらのカードは、アメリカの大手銀行が発行したVISAやマスターカードのコピー品で、磁気ストライプやホログラムまで本物そっくりに再現されている。本物のカードと唯一違うのは、まだカード番号や有効期限などの情報が刻印されていないこと。摘発されたカードと同じものが、おそらく税関検査をすり抜けてアメリカ国内に何万枚と流入しているはずだ。それを闇組織が主要都市の犯罪者に卸売する。
たとえばニューヨークの小さなギャング組織があったとして、その組織の準構成員がふだんは真面目にレストランで働いているとする。その店に私がふらっと食事に出かけて、会計をクレジットカードで済ませようとする。
彼は、私から受け取ったカードを店の奥に持っていく隙に、手早くスマホでカードの表と裏を撮影する。そうやって手にいれたカードの写真を、あとでまとめてギャング組織に売る。数人の客の情報が100ドルぐらいで売れるだろう。
ギャング組織は、私のカードの画像をもとに、同じカード会社のブランクカードに私のカード情報をエンボッサーという機械で刻印し、同様に磁気情報もリーダーライターを使って書き込む。カード番号、私の名前、有効期限、そして裏面のセキュリティ番号。この4つの情報を刻印して磁気情報を書き換えれば、私のクレジットカードのコピーが誕生する。
そのカードを使って煙草など換金しやすい商品を購入する。カードが使えるうちに使っていって、どこかでカード会社が気づいて使えなくなったらそのカードはおしまい。手元にはたくさんの偽造カードがあるので、一枚のカードが使えなくなったからといって彼らは困らない。
実際にアメリカでそんなカード犯罪が起きているということを調査していた折に、自分がまったく同じ手口の事件に遭遇してしまったというのが冒頭の話だ。
私が帰国しても日本でそのカードを使っているのに、同じ日にニューヨークでカードが使われて、それで「おかしい」ということになったのだろうか。私のカードはその瞬間に彼らには使うことができないカードになり、私の手元に新しいカードが届いた。局所的にみると損をしたのはカード会社だけだ。
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