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対応が遅れる日米
とはいえ、大きな規模で犯罪が起きると、カード会社の損のつけは、加盟店の利用料や私たちカードホルダーの年会費やポイント還元の改悪にまわってくる。その意味で、誰も損しないなどというのは幻想だ。
先にこの犯罪がまん延したヨーロッパではいちはやくICカード型のクレジットカードへの移行が行われ、現在ではICチップのついていないカードは受け付けないという加盟店が増えている。
それと比較してアメリカと日本は若干遅れている。日本の場合、ICカードが義務化されるのは2020年の見込みだ。アメリカでも加盟店側のリーダーが対応していないなどの理由から、まだICチップ型のカードの普及率は高くはない。
クレジットカード会社は普及を促進するために、ICチップの内蔵されたカードを店舗がICカード用ではない通常のリーダーで処理した場合の手数料を高く設定している。ICカード対応のリーダーを導入すれば3%で済む手数料が、導入しないと6%になるといったかたちのペナルティを用いることで、ICカード型クレジットカードリーダーの普及率を高め、カード偽造団からの被害をなくしていきたいという考えだ。
さて、2015年、新たな犯罪が報告された。クレジットカードのICカードの上に、もうひとつ別のICカードをはんだづけすることで、どのような暗証番号を入力してもその暗証番号をリーダーが正しいと認識してしまうという手口らしい。これが偽造できないはずのICカード型クレジットカードをコピーした最初の犯罪ということだ。
つまり、いたちごっこである。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)
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