「要求が細かい」びっくりドンキーの「びっくり」な秘密!3度の値上げでも客殺到の謎
「要求が細かい」といわれるほど、食材の安心・安全を追求
産地偽装など、食品不祥事が繰り返される時代だが、アレフの安心・安全への取り組みは、外食業界のなかでも群を抜いている。
たとえば、びっくりドンキーのハンバーグの肉はビーフとポークだが、2001年から「ドンキー・ナチュラルビーフ」という牛肉を用いている。これはニュージーランド南島と豪州・タスマニア州の指定牧場で放牧飼育された子牛を、牧草、干し草と、サイレージと呼ぶ青刈りした牧草などを発酵させた飼料だけで飼育するものだ。穀物飼料を与えずに育て、生後12カ月以降は伝染病予防の抗生物質も使用しないという。
豚肉も、広く清潔な豚舎でストレスのかからない状態で飼育し、こちらも生後90日以降は抗生物質の使用を制限。豚は日本国内、カナダ、メキシコの契約農場で育てられ、安全管理された豚肉を使用している。
同社が食肉の安全性を加速させたのは01年に発生したBSE(牛海綿状脳症。発生時は狂牛病と呼ばれた)がきっかけで、同年からBSE発症の危険性が最も低いといわれる豪州産とニュージーランド産牛肉に切り替えた。店で使用するハンバーグの肉も冷凍ではなく、毎日店舗へ新鮮な肉を配送し、製造から48時間以内に消費する社内ルールを設けている。
ハンバーグと一緒に提供するライスは国内産で、06年から「省農薬米」と呼ばれる農薬使用を1回だけのコメに切り替えた。野菜も農薬の使用をできるだけ抑える製法を行い、東北の農家と契約している食材も多い。東日本大震災後に風評被害が言われた時期も、実際に社員が産地に行って栽培状況を確認して、きちんと検査データを取った上で東北の食材を調達して提供したという。
取引先からも「アレフは要求が細かいけれど、しっかりしている」という評価を受けており、これ以外にも生ごみ処理機を導入して各店舗で発生した食品残渣(食べ残しなどの廃棄物)の堆肥化を進めるなど、多くの取り組みをしている。こうした活動が評価されて16年3月31日に日本政策投資銀行(DBJ)から「DBJ環境格付」に基づく融資を受けた。最高ランクである「環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業」と認定されたのは外食業界では同社だけだ。