三菱の17年3月期からの3カ年計画は、食品原料など非資源分野の強化が柱だ。投資は3年間で2兆円。1兆5000億円を非資源に投入する。3カ年計画の最終年度となる19年3月期の連結純利益は、ほぼ非資源のみで3000億円を稼ぐ。資源から得る利益は全体の1割以下の200億円とみている。資源価格が上向けば資源で1000億円(4ケタ)の利益が見えてくるかもしれない。原油価格20ドル台でリスク資産を見直しているから、直近で1バレル50ドル台に一時戻ったこともあって、資源価格が上向けば戻り益も期待できる。三菱の内部資料によると、20年の最終利益は6500億円(非資源3500億円、資源で3000億円)となっている。
つまり、ロケットのスタート台を極力下げた三菱は17年3月期を助走期間として、18年3月期にV字回復を目指すことになる。17年3月期は伊藤忠の連覇の確率が高いとみられているが、18年3月期には「商社2強」である伊藤忠と三菱の激しいトップ争いが演じられることになるだろう。
伊藤忠の18年3月期決算で下振れがあるとすれば、ネックとなる可能性があるのは資本・業務提携している中国中信(CITIC)とタイの華僑財閥チャロン・ポカパン(CP)グループだろう。「CPの資金繰りがこの頃、今まで以上に悪化している」との懸念がつきまとう。上昇気流に乗る三菱と下向きの懸念がある伊藤忠の利益が18年3月期にクロスする可能性はゼロではない。
岡藤氏と小林氏は、日清食品ホールディングス(HD)の社外取締役に就いている。これからは小林氏に代わって垣内氏が務めるとみられ、日清食品HDの取締役会で2人は顔合わせをするだろう。岡藤氏は小林氏には余裕をもって接していたが、垣内氏に対してはどうだろうか。ちなみに垣内氏は岡藤氏より6歳も若い。
三井物産の業績の急回復は望み薄
三井は17年3月期の最終利益の7割、1400億円を食料分野や新興国のインフラ(社会資本)整備などの非資源で稼ぐとしているが、「資源商社の雄」といわれる三井の構造改革は一朝一夕には進まない。安永氏が「資源ビジネスに未練を残している」(関係者)限り、三井の業績の急反発は難しくなる。
安永氏は巨額赤字に転落しても、役員報酬の返上など責任の所在を明確にはしていない。権力を飯島彰己会長が握っており、「損失の元凶となる資源の権益を買ったのが、当の飯島氏が社長の時代のことだから、責任を明確にできないのだろう」といった厳しい指摘が社内外にある。三菱は3月24日に巨額減損を発表した時点で、全執行役員の夏の賞与をゼロに決定している。