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そもそも、日本の企業に外部からトップが送り込まれることにはリスクが伴う。社内の危機意識をあおるには有効だが、行き過ぎれば社員の愛社精神に水をさすことになり、士気低下を免れない。
つまり、MBA的、外資企業的スタイルの“情”より“理”を優先する経営手法では、日本企業のサラリーマン集団を束ねることはできない。現場力を引き出し、全員を底上げする“寛容心”がなければ、日本の会社を経営することはできないのだ。
経営人材の育成
最後に、では日本の社長の小粒化を防ぐ方法はないのか。
トヨタ自動車が16年4月、カンパニー制の導入に踏み切った理由は、次世代を担う経営人材の育成のためである。専務役員を各カンパニーのプレジデントに任命して責任と権限を集約し、経営者としての経験を積ませる狙いだ。
社長の最大の課題は、次世代経営層の育成だといわれる。トヨタ社長の豊田章男氏は09年6月の社長就任から7年目を迎えた。巨大企業トヨタを引っ張ることのできる社長人材の育成は急務といえる。
果たして、現代の厳しい経営環境を乗り越えられるだけの経営者がカンパニー制のもとで育てられるものかどうか。後継者問題は、いまや豊田章男氏の最大テーマといっていいだろう。
つまり、経営者の小粒化の解消は、日本企業が抱える大きな課題といえるだろう。トヨタの苦悩は、日本企業の苦悩そのものである。
(文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家)
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