ミキハウス、ゼロから世界トップブランドへの「無私の経営」…五輪選手を多数輩出の理由
片山 ミキハウスは、柔道に限らず、シンクロ、アーチェリー、テコンドーなど女性を応援されることが多いですね。
木村 支援当時は、女性のスポーツにスポンサーがつきにくかったんですよ。困った人が僕んとこへ頼みにきはる。「これは縁やな」と思うて引き受けてたら、いつの間にかこうなってしまって。
片山 みんな、木村さんところへ持っていけば、なんとかなると思っているんじゃないですか。
木村 うん、そうかもしれへん(笑)。支援に力を入れたら全部結果が出る。みんな、うちにきたら強うなんねん。「はいはい」いうて引き受けてたら、みんなががんばってモノになっていくからね。
片山 6月3日に行われた壮行会では、木村さんは選手に「五輪を楽しんできてほしい」と話されました。これは、安易に口にすると世間がうるさい難しい言葉ですよ。それをさらっと口にするのは、なかなかできることではない。
木村 例えば、シンクロの選手(三井梨紗子)はね、ロンドン五輪で5位でメダル獲れへんかった。それで、「絶対、次の五輪でメダルを獲る」と決めて、4年間競技を続ける道を選んだんです。せやけど、4年間続けるいうことは、大変なことですよ。死んだつもりで、すべてをなげうってやる。毎日12時間練習して、食べて寝るだけ。それを4年間でしょ。もうほんとにすごいわ。
本人は絶対に勝ってこようと思うてるんです。だから「楽しんで」と僕はいうたんです。五輪本番は、練習以上の力は絶対に出えへんからね。
片山 木村さんは、3歳のときに小児麻痺を患い、小学生時代は歩くことさえできなかった。中学生時代に新聞配達で体を鍛え、ハンディを克服した経験をお持ちです。選手たちの活躍を、どうご覧になりますか。
木村 うらやましいなぁと思うわ。元気に生まれてオリンピックを目指せるいうことは、最高やなと思います。せやけど僕も、ミキハウスブランドで世界一を目指してますからね。
世界一の品質
片山 世界一になるために、苦しいことを乗り越えたり、人のやらないことをやったり、技や品質に磨きをかけるのは同じですね。ミキハウスは、品質にかけては世界一を標榜している。
木村 モノの品質、サービスの品質は大事にしています。服の原料は、糸から選ぶ。生地にして、染色して、一枚ずつ丁寧につくったものを、一枚ずつ接客しながら丁寧に売る。そこはこだわってやっています。