話題にはなるが、売上にはつながらないサンリオ
とはいえ、サンリオを取り巻く環境はなかなか厳しい。ここ3年のサンリオの業績をみてみると、売上高こそ横ばいだが、営業利益も経常利益も急速に減少傾向にある。サンリオの人気キャラクターである「ハローキティ」にしても、ご当地ストラップやアーティストとのコラボなど、幅広く営業展開を行った弊害としてプレミアム感が失われてしまい、「ポケモン」のように新作が出るたびに話題となるようなキラー・コンテンツとしての役割はもっていない。
サンリオ内ではそのような現状をどう捉えているのだろうか。サンリオ商品部で働いているという関係者は語る。
「長年愛され続けるキャラクターを生み出してきたサンリオという企業が、倒産したり大幅な事業縮小をしなければならなくなるとは思いませんが、それでもやはり、ここ数年は全店で売上が落ちており、経営的には非常に厳しい状況です。積極的に新規ビジネスにチャレンジしていく姿勢も将来的には安定につながると信じていますが、現状どれも決め手に欠け、みんなどうしたらいいか頭を抱えています。今の業績が続けば、今後は人件費の削減なども考慮していかなければならなくなるかもしれません」
既存のキャラクターでは爆発的なブームを引き起こすのは難しい、だからなんとかして新規ビジネスで成功しなければならない。それが最近のイケメンビジネスにつながっているのであろうが、先ほど挙げた「サンリオ男子」や『ちっちゃな英雄』は、サンリオがやるので目新しさを感じるが、テンプレート通りのキャラクターのつくりこみなど、内容としては定番だ。結局のところそれらも、流行に乗っかっただけの「2匹目のどじょう」であり、サンリオならではの独自性を持たせなければ、サンリオの攻勢も悪あがきにしかならない。
昨今のオタク・ブームの波に乗って、今一度ファンの心を掴むことができるのか、サンリオのキャラクターたちの底力が、今試されている。
(文=編集部)