ポケモンGOに熱中する人々は「愚か」なのか?多くの人が膨大な時間を無駄にしている
遊ぶだけでは人は成長できない
ゲーム自体を批判するつもりは一切ないが、それでもやはり気になることはある。電車の中であまりにも多くの人がスマホをいじり、その多くがゲームをやっていることだ。先日、電車の中で私の前に若い男性が4人座っていたが、全員がスマホでゲームをやっていた。
その一方で、ごくごくたまにではあるが、なんらかの勉強をしている人を見かけることがある。電車に乗っている時間はごくわずかかもしれないが、その少しの時間の積み重ねがおそらく大きな差になって現れるにちがいない。
私自身、大学受験のときも会計士試験のときも、暗記系の勉強はすべて電車の中でやっていた。覚えるだけなら机に座ってやる必要はないからだ。高校時代は運動部で毎日遅くまで練習があったし、会計士の勉強も働きながらだったので、移動時間は貴重な時間なのである。その地道な努力の積み重ねはいずれも大きな成果に結びつき、明らかに人生を大きく変えた。今でも、移動中はほとんど仕事にかかわる本を読んでいるかなんらかの仕事をしている。この原稿を書いているのも新幹線の中だ。
「忙しくて時間がない」という人がよくいるが、時間はつくり出すものだ。移動のような隙間時間も、つなぎ合わせればかなりの時間になるのだ。
車内で何をやろうと勝手ではあるが、それにしてもあまりにも多くの人が無駄に時間を過ごしているように見える。電車の中での時間をもう少し自分の成長のために使ってみたらどうだろう。
ただ、日本生産性本部の調査によれば、今年の新入社員の6割近くが「人並みに働けば十分」と答えたそうだ。これだけ多くの人が人より秀でた仕事をしようとは思っていないのなら、寸暇を惜しんで努力をしようなどとも思わないのかもしれない。
そうであるならば、通勤時間はご自由にお過ごしくださいと言うほかないが、国力ということを考えると、やはりちょっと心配である。
(文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表)