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ひとつ下手をすると「目標達成のためには手段は選ばない」という目標至上主義が会社の中に蔓延してしまう。その時、会社は腐敗し始める。
そもそも人間とは弱い動物である。誰しも弱点もあるし迷いや悩みもある。弱い人間の集合体である企業のなかに、「ほかの会社はいざ知らず、我が社にとって大切なことは何だ、どういう会社になりたいのか、何を大事にして毎日仕事をするのか」という企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)が全社員の心に深く根付いていると、社員のものの考え方や決断に大きなブレがなくなる。全社員のベクトルが合ってくる。必然的に生産性が高まり、業績が高まる。多様化(人種、性別、年齢、価値観、宗教、経験等)が進めば進むほど、企業の中には多種多様な背景や考え方を持つ人が増えてくる。組織はグループ(集合体)とはなるが、各人が行うことはテンデンバラバラという烏合の衆になり兼ねない。多様化が進展するなかで、全員の心をひとつに束ねる求心力の働きをする企業理念があると、全社員の心がひとつにまとまる。
その時に、組織は全員が同じ理念や目標や価値観を共有したチームとなる。理念はグループをチームに変える力を持つ。
経営者が果たすべき責務は山ほどあるが、そのなかで最も重要な責務は冒頭にも述べた「理念の構築と発信」である。三菱自の再三に亘る不祥事の根源は、一言で言うと「理念の欠如」ということに尽きるのではないか。
「魚は頭から腐る」というロシアの諺がある。腐った魚は排除しないと社員のためにも、会社のためにも、そして何よりも大切なお客様のためにもならない。日産自動車のテコ入れを受けることにより、名門・三菱自が過去の栄光を取り戻すことを望むのみである。
(文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長)
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