呆れる費用請求
――具体的には、どのようなかたちで水増しが行われていたのでしょうか。
南部 たとえば「渡航費」という部分です。東京から福岡までの出張経費が渡航費として1回100万円以上の単位で請求されていました。ほかの取引先は、そのようなことは一度もなかったので、びっくりしました。もちろん、そうした費用を請求するなどという話は事前になく、正直呆れました。
――事前に見積もりのようなものは求めなかったのですか。
南部 当然、求めました。「後出しじゃんけんのような見積もりは認められない」と伝えてきたので、そうしたルールはしっかり守ってくれていると思っていたのです。
――博報堂との問題で、他の取引先には、どのような影響があったのでしょうか。
南部 風評なども広がり、かなり影響がありました。そのため、新しい取引先を開拓しなければならなくなってしまいました。そんな状況が今年4月まで続き、会社の置かれた環境はすっかり変わってしまいました。風評を流した相手についても判明してきたので、事の是非をきちんと明らかにして、法的に対応したいと思っています。
「専門家」だと偽り
――博報堂のAさんは、博報堂の社員ではなく、なんの専門的な知識もないような人物を専門家と称して連れてきて、高い請求をしてきたというようなこともあったそうですね。
南部 ありました。「番組制作の専門家」だと偽って請求してきたものもあります。15秒、30秒のCMをつくるときに、博報堂が企画したものはないのです。丸投げ状態だったので、「CMの企画料は取らないでください」とお願いしたのですが、それでも600万円にも上る企画料を請求してきたのですから、呆れてものが言えません。
――なぜ、そのような博報堂と、取引を続けてきたのですか。Aさんを信じていたのですか。
南部 そうです。信じていました。役員も彼を押していましたから、それだけの仕事ができるのだろうと思っていたのです。
――最終的には博報堂1社に任せるかたちになりましたが、それはいつ頃からでしょうか。
南部 博報堂単体に任せるようになったのは、2008年3月からになると思います。
――博報堂がおかしな仕事をするようになったのは、単体で仕事をするようになってからですか。それとも、以前からそんな仕事の仕方をしていたのでしょうか。
南部 博報堂さんに仕事を頼むようになって2、3年たち、情報誌をやるようになってからではないでしょうか。