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三菱自、不正再発…執拗追求の国交省、カタログ燃費「乖離問題」放置への批判封殺

文=河村靖史/ジャーナリスト
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三菱自、不正再発…執拗追求の国交省、カタログ燃費「乖離問題」放置への批判封殺の画像1燃費試験の不正行為について会見する三菱自動車工業・相川哲郎元社長

「常軌を逸する事態といわざるを得ない」(国土交通省)――。

 三菱自動車工業の燃費不正問題で、同社が燃費データを改ざんするなどの不正が発覚した後、正しい燃費を測定するための試験でも不正を行っていたことが明らかになった。国交省は同社の姿勢に怒りを露わにし、再発防止策の見直しを求める。ただ、重箱の隅をつつくような国交省の姿勢に対し冷めた見方も広がっている。

 三菱自は燃費を実際よりよく見せるため、不正な方法で燃費データを取得したり、データ自体を改ざんしていたことが発覚したことから、現行販売している9車種について燃費データの再測定を4月から開始し、再測定結果を6月17日に公表した。それによると、不正な方法による測定と再測定の結果についてプラス・マイナス3%前後で「誤差の範囲内」と説明、燃費データの修正やユーザへの損害賠償に応じない方針を示していた。
 
 一方で、国交省は三菱車の燃費データを独自に測定したが、それによると、このうち8車種がカタログに記載された諸元値(カタログ燃費)よりも悪い結果となった。国交省の試験値とカタログ燃費の差は最大8.8%、平均ではカタログ燃費を4.2%下回っていた。このため、国交省では、これら8車種の販売を停止して燃費データを再申請するよう三菱自に指示した。

 これを受けて三菱自の益子修会長兼社長は8月30日の会見で、「今回の件では法令違反ではないと認識している」と発言し、国交省の怒りに火をつけた。

国交省、強引な主張の背景

 新型車の型式指定を申請する際、燃費を算出するため、惰行法と呼ばれる方法で走行抵抗値を測定することが定められている。三菱自の燃費不正事件では、この走行抵抗値を測定するのに高速惰行法と呼ばれる独自の不正なやり方で取得していた。

 不正発覚後の再測定では、法令に定められた惰行法で走行抵抗値を取得して国交省に提出したが、国交省が問題視しているのは、この算出方法だ。走行抵抗値のデータは、実走行で取得することから風や外気温などの影響を受け、データにはバラツキが出る。このため、走行抵抗値は複数回の試験を行って平均値を取ることになっている。

 国交省によると、自動車技術総合機構が4月28日に三菱自の性能実験部に対して、走行抵抗値の測定は5回程度実施し、もっとも高い数値と低い数値を除いた3回分の平均値とするよう求めた。これに対して三菱自では、多いものでは30回以上実施して、このなかから良い結果を3つ抽出してから平均値を出していた。

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