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江間正和「飲食業界を“数字と現場”で科学する」

食べログ、運営側が点数操作疑惑を否定…なぜ「公平さ」への疑問広がる?点数動いた理由

文=江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部代表

(2)人材の育成の遅れ

 最近は3.5台の点数のお店が増えていると感じている飲食店関係者が多くいます。食べログ側は「3.5以上のお店は全体の5%程度」と説明していますが、地方や沿線の街を中心に書き込みがないため点数が出ていないお店や、評価の定まらない3.0のお店もすべて含まれていますので、3.5以上のお店が都心部を中心に目立って見えるのかもしれません。

 東京・山手線周辺の駅で検索をかけると、3.5以上のお店が店舗全体数に占める割合が10%超の駅も出てきます(以下、10月10日現在のデータ)

・六本木:463/2228軒=20.8%
・渋谷:387/2872軒=13.5%
・新宿:512/4540軒=11.3%
・池袋:251/2937軒=8.5%
・東京:626/2928軒=21.4%

 食べログが飲食店に有料サービスの利用を勧誘する際、点数が低すぎると嫌われて相手にしてもらえず、高すぎても「うちは大丈夫」となってしまうので、営業しやすいように「どんぐりの背比べ」を狙っているとの指摘もあります(カカクコムは「そのような事実はございません」と否定)。そして、今回は「3.0」周辺の店が大量に発生しました。

「最近、食べログからの営業が多くなった」と飲食店の方々からよく聞きます。食べログもビジネスですから、無料会員店舗よりは有料会員店舗を増やして売上を上げたいのはよく理解できます。標準検索の並び順が「広告優先」と表記されたことでも、その方向性は明確です。

 しかし、こうした営業戦略において、人材の育成がついていってないために今回のような事件が起きたという側面もあるのではないでしょうか。営業担当者の知識不足、獲得件数稼ぎのためのその場しのぎの話が、相手に不安や不信を持たせた結果ともいえるでしょう。

(3)評価点数は「完全に自動的」ではない

 評価点数が完全に食べログ運営サイドからは不干渉で、完全に自動的でなされているのかと問われれば、疑問です。実際にブラックリスト者の書き込みや、当該飲食店の関係者によるものだと推測できる書き込み(件数が5件以下の場合など)で点数が動かなくなるような傾向が、食べログ運営サイドが良くも悪くも評価点数の動きに干渉できる要因となっています。

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

東京未来倶楽部(株)代表
5年間大手信託銀行のファンドマネージャーとして勤務後、1998年独立。14年間、夜は直営店(新宿20坪30席)ダイニングバーの現場に出続けながら、昼間、プロデューサー・コンサル業。コンサル先の増加と好業績先の次の展開のため、2012年5月からプロデューサー・コンサル業に専念。
「数字(経営者側)と現場(スタッフ・オペレーション)の融合」「各種アイデア・提案」が得意。また、現場とのメニュー開発等、自称<「実践」料理研究家>。
・著書:『ランチは儲からない、飲み放題は儲かる』『とりあえず生!が儲かるワケ』『ド素人OLが飲食店を開業しちゃダメですか?』

Instagram:@masakazuema

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