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日本財政破綻説のデタラメ
それにもかかわらず、マイナス金利は金融機関にとっては「マイナス」なので、悪評が後を絶たない。
その一例を挙げよう。「このままマイナス金利が続くと国債の魅力が失われて、国債が暴落する」というものだ。これはデマに近い。国債だけの魅力が失われるのではなく、他の金利型金融商品の魅力がなくなるが、逆に株式型金融商品の魅力は高まる。
その上で、国債が暴落することがまずない。というのは、日本の財政状況が良いからだ。「国の借金は1000兆円」と煽る指摘が多いが、日銀を含めた政府の連結バランスシートから、右側の負債のみに着目するのでなく、左側の資産をみれば、現時点では借金はほとんどない。
さらに、みえない資産である徴税権を加味すれば、明らかに資産超過である。標準的なファイナンス理論からみれば、日本財政が破綻するという話はホラーと同じレベルである。実際、日本財政が破綻するといわれて20年くらいたっているが、金利は高騰せず円高になっているのは、破綻話がいかにデタラメであるかを示しているだろう。
この破綻説は、保有する国債や銀行預金を売らせて、他の金融商品を取得させる、悪徳商法にも使われる手法なので、この種の話をする人には気をつけたほうがいい。
(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)
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