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電通、社員を死に追い込む驚愕の労働実態…部長「残業削減と売上、どっちが大事!」

文=深笛義也/ライター
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 配属された、デジタル・アカウント部で、高橋さんはどんな仕事をしていたのか。

「自分はデジタル関連の事業にはかかわっていないので直接はわかりませんが、インターネットに出したクライアントの広告のヒット数を上げるように工夫するのが仕事と聞いています。いろんなサイトにバナーを貼ったりとかで、広告そのものを創るわけでもない。クリエイティブではなく地味な作業です。デジタルは当社でも今後重要になってくる部門なので、要求されることは多かったと思います。地味な作業を延々とやるというのは辛かったでしょうね」

 高橋さんは、作成した資料を上司にぼろくそに言われたり、「女子力がない」と決めつけられたりと、日常的にパワハラを受けていたことも判明している。

電通の風土では、それに似たことは結構あります。高橋さんと上司の間に、信頼関係がなかったんじゃないですかね。午前3時とか4時まで仕事していたというのも、その時間まで部長がいるわけもないので、与えられた仕事とか周りとの関係でそうせざるを得なかったのでしょう。そうした高橋さんの実態を把握してなかったとすれば、上司の落ち度といえます。会社では100時間以上残業している社員には面談しているし、高橋さんほどの異常な残業なら、労政部が直属の上司に注意するものです。それがなされていなかっとすれば、会社の責任だと思います」

 高橋さんが連日におよぶ深夜残業や休日出勤を行い、月の残業が100時間を超えていたというのは事実なのか。そして事実であった場合、会社としてそれを把握していたのか。さらには上司による高橋さんに対するパワハラ行為は行われていたのか。同社広報部は当サイトの取材に対し、次の回答を寄せた。

「ご遺族との間で協議を継続中ですので、個別のご質問についてはお答えいたしかねます」

 また、前出の「残業時間が月100時間を超える者はざらにいる」という電通社員の証言は事実なのか。

「調査に全面的に協力しているところですので、個別のご質問にはお答えいたしかねます」(電通広報部)

 ずいぶん以前から、日本企業の長時間労働の問題は指摘されている。だが、「遅くまで働くのが偉い」という気風は、大会社から小会社までいまだにはびこっている。高橋さんの母、幸美さんの「命より大切な仕事はありません」の言葉は重い。日本の会社員の働き方を根本から変えていかないと、悲劇を絶つことはできないだろう。
(文=深笛義也/ライター)

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