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たとえば日産自動車のリーフの旧型には24kWhの電池が搭載されている。50kWの充電器で最高出力で充電すると30分で満充電できる計算だが、実際はそうではない。電池や施設の都合で、急速充電器は常に最高出力で動いているわけではないからだ。
急速充電をすると電池の温度が急速に上昇する。一方、電池は走行直後には温度が高い。高速道路のように高速で走った後はとくに温度が高くなる。こうした高温状態で急速充電すると、電池の寿命が短くなりやすい。そこで、それぞれの電池の特性とそのときの状態に合わせて、急速充電器の出力を調整する。これは充電時間を調整するということだ。
電池の温度が上昇するのは、電池そのものの電気抵抗(内部抵抗)による。近い将来に実用化が期待される全固体式リチウムイオン電池は、内部抵抗が少ないので温度上昇も少なく、充電のスピードも速くできる。
そうした電池の進歩に合わせて、たとえば急速充電器の最高出力を150kWにすれば、充電時間は現在の3分の1 以下になる。
そうなれば、プリウスPHVでは空の状態からで3分30秒、三菱自動車工業のアウトランダーPHEVで4分42秒、あるいは米テスラモーターズのモデルSでは30分で、500km走行分の電気を充電できる。充電希望者同士のトラブルも少なくなり、譲り合いの心という美徳も不要というわけだ。
こうして技術の進歩は生活を便利にはするのだが、生活から潤いをなくしもする。寂しい限りである。
(文=舘内端/自動車評論家、日本EVクラブ代表)
※画像はトヨタの4代目プリウス(「Wikipedia」より)
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