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2023.05.03 23:10
2016.12.09 00:13
高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏
首位陥落危機のマツキヨ、個人薬局「系列化」構想が始動…コンビニより多い調剤薬局が淘汰か
インバウンドに強いのも、これまでの取り組みの成果だ。前期の同社業績を押し上げたのは中国人観光客に代表される「爆買い」だが、実は業界に先駆けて07年から中国で普及している「銀聯(ぎんれん)カード」での取り扱いをスタートさせ、顧客対策を進めてきた。
その視点で考えると、個人薬局の系列化で入手できるのは「地域情報」だ。たとえば「A店の周辺は高齢者だけでなく、予想以上に子育て世帯も目立つ」といった地域データの具体的な中身がわかる。これができれば個人薬局も、従来の仕入れ値より割安で供給を受ける商品構成を大胆に変えられ、売上拡大も期待できる。その結果、良質な個人薬局が持続することができれば、地域住民の「健康状態の相談窓口」維持につながる例もあるだろう。
もうひとつ、現在は少ない男性客の集客も課題だが、データを駆使したインターネット販売の取り組み強化次第では「来店されなくても売れる」期待も膨らむ。「育毛剤や精力剤など、店頭で買うのが恥ずかしい商品はネット商材に向く」(業界誌の編集長)といわれるからだ。
今回の取り組みは、「ドラッグ分野では1位だが、調剤分野では5位」というマツキヨの「調剤分野の強化」の部分だけでみると、全体像を見落とすおそれがある。個人店の系列化に注力することで、地域データを強化し、かつ個人店と共存するとの視点が欠かせないだろう。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
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