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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第5回 斉藤惇氏(KKRジャパン会長)後編

エアビーやウーバーの台頭にまったく追いつけない日本…コストゼロで異常に高い生産性

構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山 今の日本社会は、コンピュータやIoTによるメリットを十分に享受できない仕組みだということですね。

斉藤 電力にしても、この狭い日本で、西日本と東日本で周波数が違う。みんな、ちっぽけな自己主張ばかりです。ほんとにケッタイな国ですよね。

片山 日本社会は非効率的な体制を崩せず、IoTのメリットを十分に享受できずにいますが、個人に焦点を当てれば、情報通信ネットワークの普及によって、世界中の情報とつながるようになりました。

斉藤 インターネットの普及によって、社会は大きく変化しました。たとえば、かつて国家権力は、国民が知らないことを知っていることによって維持されていました。

片山 支配者と被支配者の間には、情報の非対称性があるといわれますね。ところが、インターネットの普及でその構造が崩れつつある。

斉藤 スノーデンの事件(13年、アメリカのNSA=国家安全保障局の元局員が、政府高官や国民への諜報・情報収集活動の実態を暴露した事件)でアメリカの警察力がなくなったといわれたのは、彼がアメリカの情報をすべて持って行ってしまったからです。

片山 ITやインターネットの出現によって、国家権力、経済、企業経営、ビジネス、働き方、何から何まで世の中がまったく変わってしまいました。

斉藤 もう、首相より情報を持っているような人はいっぱいいますからね。

片山 ある意味では、オタクの世界ですよね。

斉藤 そうそう。だから、オタクは大事ですよ。オタクに経営させればいいんですよ(笑)。

インセンティブのために働くのは正しい

片山 コーポレートガバナンスは、最終的に経営者のモラル次第という指摘があります。長年経営者を務めてこられた斉藤さんにとって、改めて経営とはなんですか。

斉藤 僕は、会社というものは社会的存在だと思っていますから、経営とは何かと言われたら、なんらかのかたちで社会に貢献しなければいけないと思います。

片山 企業は、世のため人のため、社会のためのミッションを持たなければいけないということですね。ご自身にとってはどうですか。

斉藤 僕個人について言うと、基本的に僕は「無」なんですよ。ゼロ。人間、しょせん死んだら灰ですからね。モノには興味がありません。色は意味がない、黒白でいいんです。

片山 執着がないんですね。鈴木大拙は禅の心を「無心」といっていますが、そんな感じですか。

斉藤 うん、僕は中学生くらいのころから鈴木大拙などの考え方にすごく感化されていて、観音経などお経も諳んじて毎日あげているほどです。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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