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2023.07.08 00:46
2016.12.15 00:09
ルディー和子「マーケティングの深層と真相」
アマゾン、同じ商品をバラバラの価格で販売の「強大な権力」…メーカーを圧倒する小売業
松下電器は、それを阻止するためダイエーへの商品出荷を停止。ダイエーは、そういったやり方は独禁法違反だとして告訴した。この戦争は、松下電器創業者の松下幸之助が亡くなり、1994年に終わった。もっとも、そのときには家電販売の主要チャネルは家電量販店に移っていたわけで、両社にとって和解が売り上げに影響を与える時代ではなくなっていた。
量販店やネットでの安売りが当たり前の今からみると信じられないかもしれないが、どこかが価格を下げれば追随する店舗が出てくるのは明らかで、安売り合戦になる。安売りは、ブランド価値の低下につながりやすく、メーカーにとっては断固受け入れられないことだった。
定価より安く買うことが当たり前になったワケ
さて、定価より安く買うことが当然のようになっている現状について、いくつかの理由が挙げられている。
ハイテク製品に限られるが、テクノロジーの進化でコストが下がったという理由がまずひとつ。
デフレ慣れという説もある。バブル崩壊後、20年続いたデフレのなか、消費者は値段が下がることはあっても上がることに慣れていない。値段が上がることへの抵抗感が強いというわけだ。企業自身もデフレ慣れしているから、売り上げが下がるとすぐに値段を下げるという、もっとも知恵のない戦略をとるという説だ。
もうひとつ、市場における力関係において、メーカーの力が衰え、小売の力が相対的に大きくなったからだという理由もあるのではないか。
価格を価値の一部だと考えている小売の力が市場の支配権を握った。ブランドを大切にし、安売りに大きな抵抗を感じるメーカーの力が衰えた。ネット通販が安売り志向を促進しているという説もあるが、それはネットというツールを効果的に利用できているのが小売業だからだということもできる。
(文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学客員教授)
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