実質的所得、過去4年間減少していた…安倍首相の賃上げ要請、ただのポーズで効果なし

働きに応じた賃上げ

 しかもこの間、働き手の効率を示す労働生産性は継続的に大きく改善している。言葉を変えれば、働きに応じた賃金が支払われていないということである。労働者の分け前を示す労働分配率はマイナスとなっていることも、このことを示している。稼ぎは会社側に持っていかれてしまっている。バランスシート上の内部留保が、国際比較しても異様に膨らんでいる事実と一致する。

 安倍首相がこのような事実を捉えて、経済界に賃上げを迫っているとは思えない。はっきりいって、ポーズとしてこのような要請をしていると断じざるを得ない。法人税減税など矛盾した政策を平気で採用している感覚は、どっちを向いて政治を行っているか明らかであろう。内部留保課税など政権の話題にも上がらない。

 安倍首相が大声で唱えている働き方改革も当然必要であるが、その前に働きに応じた賃金・所得改革こそ優先すべきである。もう「ポーズ」としての、従って、首相の本気でない賃上げ要請を許してはならない。
(文=井上隆一郎/桜美林大学教授)

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