消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
ただ、研究としては、あまりうまくいかなかったというのが指導していた筆者の感想です。もちろん、自らが強く興味を持ったフェアトレードというテーマに対して、学生たちは必死で取り組んでいました。しかし、その内容はフェアトレードという仕組みの素晴らしさや認証システムの探求などに終始し、適正な価格で仕入れるため(相手を尊重し、商品を買い叩かない)、ファストファッションなどと比較すれば往々に販売価格が高くなってしまうフェアトレード商品を「いかに消費者に販売するか」という、マーケティングにおける王道的問題に直視できなかったのです。極端なことを言えば、商行為自体を否定しそうな勢いでした(お金儲けは悪であるなど)。
フェアトレード商品のマーケティング戦略
講演会終了後の質疑応答の際、原田氏に以下のような質問をさせていただきました。
「フェアトレードは寄付などの慈善行為と捉えるべきか、それとも純然たる商取引・ビジネスであるのか」
「ビジネスであるならば、割高となる場合が多いフェアトレード商品をいかに消費者に販売すればよいのか」
これに対する原田氏の回答は、以下のようなものでした。
「フェアトレードを単なる慈善行為と捉えても、うまくはいかない。たとえば、接客の際に開発国の労働者の悲惨な実態などの話をすれば買ってくれる消費者もいるだろうが、そういうやり方では継続購買とはならず、一回きりの購買に終わってしまうことが多いだろう。したがって、まず何よりも商品が魅力的でなければならない。商品のデザインや品質など、商品力が重要である」
原田氏のこうした発言に大いに驚き、感服した次第です。フェアトレードに携わる人はもともと非常に倫理観が強く、多少デザインや品質に問題があっても社会貢献に関わることなので仕方がないと考える傾向が強い(消費者にも強要する)のではないかという筆者の浅はかな偏見は見事に打ち砕かれました。
実際、フェアトレードのアパレル商品に関して、従来は民族色の強いデザインが多かったものの、現在では欧州のデザイナーが現地でデザイン指導を行い、一般の市場において競争力のある商品となることを目指している場合も多いようです。また、天然の染料はあまりにビビッド(鮮明)な色合いになってしまう場合が多いため、泥などを混ぜて色を落ち着かせるといった取り組みも行われているようです。
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