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山田まさる「一緒に考えよう! 超PR的マーケティング講座」

【新宿で、奇跡のご馳走「鯛」に出逢った】熊本食材、10年におよぶ試行錯誤の結晶

文=山田まさる/インテグレートCOO、コムデックス代表取締役社長

【新宿で、奇跡のご馳走「鯛」に出逢った】熊本食材、10年におよぶ試行錯誤の結晶の画像2みやび鯛パンフレット

坂田水産の挑戦

 家に帰って、この会社へ問い合わせを送ったところ、すぐにレスポンスがあった。丁寧に対応いただき、資料も送っていただいた。東京ではまだ、常時取り扱っている店はないそうだが、地元、熊本から九州、さらに大阪では「みやび鯛」を扱うお店が増えてきているそうだ。おいしい野菜づくりには豊かな土壌が欠かせないが、おいしい魚を育てるには何が必要なのかを坂田水産のご担当者、鶴山さんに聞いてみた。 

「飼育環境とエサが大事です。みやび鯛は、イケスに入れる鯛の数量を抑えることで、伸び伸びストレスのないように育てています。健康でおいしい鯛をつくるために必要なのは食事と運動、人間と同じですよ。

 エサについても、飼料メーカーと10年以上の歳月をかけて開発しました。開発に時間がかかったのは、試行錯誤の連続だったからです。エサは夏用、冬用、仕上げ用と3種類ありますが、年間を通してエサを与えて、その個体を検査機関(日本食品分析センター)に出し、アミノ酸の数値をずっと追跡調査して完成度を上げていったという経緯があります。現在のエサはまだ完成ではなく、今も改良を行い、定期的に検査に出し続けています。現段階でみやび鯛のアミノ酸の数値(グルタミン酸等の旨み・甘み成分)は、天然鯛の3倍近くあります。

 また、魚が食べきれなかったエサは、海中に飛散、残留してしまいます。ですので、海底に残ったエサが溶け出した時の海水汚染が最小限になるよう、不純物等は使用していません」

 いずれ東京を含め、全国区のブランド鯛になる予感がする。大袈裟ではなく、みやび鯛を生産する坂田水産には、高い志をもって挑戦を続ける新しいタイプの漁業者として、一つの成功モデルとなっていただきたいと願う。

水産資源の危機を救う養殖

 というのも今、世界では「水産資源の危機」が非常に深刻だ。地球温暖化による気候変動が海水の変化を引き起こし、人間による過剰漁業や海洋汚染持続がそれに拍車をかける。かつては魚を食べる習慣のなかった国や地域で、魚介類の消費量が増えている。漁獲量が頭打ちの従来型漁業に代わって、今、養殖業は劇的に発展している。いずれ従来型漁業による供給量を上回るといわれている。それだけに、その中身、質がこれから問われることになる。

 みやび鯛のパンフレットの表紙には「水から産みだす」とあり、裏表紙には「自ら生みだす」とある。後継者不足に悩む漁業のなかで、新しい価値を生み出す夢のある事業であることをアピールする意図があるそうだ。大のマグロ好きである私はみやび鮪にも大いに興味がある。今度、九州出張の際には、鯛も鮪も食べてみたい。「あえん」のように、良い食材とそれを生かした“ご馳走”に出会えるだろう。
(文=山田まさる/インテグレートCOO、コムデックス代表取締役社長)

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