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孫社長にまたまたたちこめる暗雲

本家が、ヤフージャパン株売却でソフトバンクピンチ!?

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post_186.jpg本家のサイトはなんだかおしゃれですね。(「Yahoo!」より)
 時代の先頭を走り続けてきたソフトバンクの孫正義社長(54)の風が凪いだ。”孫氏の商法”の原点である日本・ヤフー(英文の社名はヤフー・ジャパン)が岐路に立たされているからだ。

 ヤフーの業績が悪化したわけではなく、業績は順調そのものだ。12年3月期連結決算によると、売上高は前の期に比べて3.3%増の3020億円、最終利益は9.1%増の1005億円だった。サービス開始以来、15年連続の増収増益で、前期には売り上げ、利益とも過去最高を更新した。インターネット検索に連動した主力の広告事業が好調だったことによる。

 しかし、インターネット業界の勝ち組の企業に比べると利益の伸び率は見劣りし、今後の成長に関して疑問視するアナリストは少なくない。ネットを席巻しつつあるソーシャルメディアの波に乗り遅れた感は否めない。

 創業以来、高収益企業に育て上げた井上雅博社長(55)の辞任が大きな波紋を呼んだ。記者会見で「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使ったことがなく、携帯電話もカバンに入れたまま。いつも引け目に感じていた」と述べ、スマートフォン(多機能携帯電話=スマホ)の普及などネット環境の激変を退任の理由に挙げた。

 井上氏は、アメリカ・ヤフー(以下、ヤフー)とソフトバンクの合弁会社として96年1月に設立されたヤフー・ジャパンの創業メンバーの1人。パソコンが主戦場だったネット黎明期に、同社がインターネット企業の盟主の座に駆け上がっていく中で、重要な役割を務めた。しかし、07年にはアップルの携帯電話アイフォーンが登場。それから5年、ネット社会の主役はパソコンからスマホに取って代わった。

 こうした状況下で、ヤフーの親会社であるソフトバンクの総帥、孫正義社長が動いた。経営陣の刷新を図り、往年の勢いを取り戻すために、スマホ時代の経営の舵取り役として宮坂学氏(44)を指名した。

 4月1日、ヤフー・ジャパンの最高経営責任者(CEO)に就任した宮坂氏は「今は、ウインドウズ95が発売された5年後の2000年ごろの空気に似ている」と語っている。ウインドウズが普通に使われるようになり、そこからインターネットにつながり、様々なサービスが誕生した。この、群雄割拠の状態の中から脱け出したのがヤフーだった。今、スマホ向けの多種多様なサービスが生まれてこようとしているときに、宮坂氏が社長の椅子に座った。

 6月21日の株主総会で代表取締役社長に就任する宮坂氏は、早速、・アメリカのSNS交大手、フェイスブックとの連携を考えている。本家のヤフーがスマホの波に乗れず失速したのを身近に見ているだけに、危機感は強い。

 検索サービスでグーグルに抜かれ、サイトへの集客でもフェイスブックに抜かれたヤフーの置かれた状況は厳しい。この5年で5回CEOが交代するほど経営は混乱している。

 同社の経営悪化は、日本のヤフーの経営の根幹を揺るがすことになる。ヤフー・ジャパンの出資比率はソフトバンクが35.45%、ヤフーが34.75%(11年9月30日現在)。経営が悪化したヤフーはヤフー・ジャパンの株式を売却する方針を固めた。

BusinessJournal編集部

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